過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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55:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:57:29.53 ID:JxUSEnW0o
あの桜の下で別れた時のこと、私はきっと、撫子以上に覚えてる。

撫子は確かに、何も言っていなかった。何も言わずに、キスをしただけだ。


あれから何度もあそこに通って、私は景色の中に撫子の姿を思い出して、あの日の答えを探していた。

自分で作り上げた想像上の撫子は、いつもいつも別れの目を私に向けていた。「別れよう」とまで言ってきたこともあった。けどそれはすべて、自分で過剰に思い込んだ故に生まれた、私が作り上げた幻影だ。


私は振られたと思い込んでいただけなのか。そこを言われて、無性に自分がばからしくなってしまった。

でもあんなキスをしておいて、そこから避けるように連絡を粗末にして、それで振ってないというのは、どう考えてもおかしい。


撫子はきっと、新しい世界で上手くいっていないんだ。

それで私のことを、キープしようとしてるだけなんだ。

それか、自殺だと思い込んでいた私を引き留めようとして、まだ繋がっているようないちゃもんをつけているだけだ。



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