過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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65:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:05:15.44 ID:JxUSEnW0o
「……撫子?」

「…………」


人影は傘をさしていた。

ぱつぱつと雨をはじく音が、私のもとまで聞こえる。


右手で持った傘を前に傾け、片目だけでこちらを見ている。

その傘の柄模様には、確かに見覚えがあった。

左手を腰に当てて、すらりと佇むその姿。


「……久しぶり、だね」

「……うん」


撫子は3〜4メートルほどの距離を保って、そこからこちらへは近づいてこなかった。

私も桜の木に背中を預け、うつむきがちに撫子を見る。声が出ないかもと心配したが、震えることもなく自然に話すことができた。


薄闇の中、傘から外れた撫子の片目は、しっかりとこちらを見据えている。

その真剣な眼差しは、あの別れた日と同じものだった。



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