過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
1- 20
7:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:29:30.40 ID:JxUSEnW0o
「めぐみ」


無意識に今までを振り返っていたところに呼ばれて、はっとなった。

撫子は、優しくて真剣な目で私を見据えていた。


「……なに?」


何が来るかわからなかった。でも、何かが起こってしまう気は最高に感じていた。


風の音も、遠い喧騒も、激しい私の胸の鼓動さえ聞こえなくなったと思った時に、撫子は私にキスをした。


それはありえないことだった。キスをしたことは何回かあったけど、それは完全に二人きりの空間でだけ。

誰かに見られる可能性のある屋外では、絶対にそんなことはしないと二人の間で決めていたのだ。それはたとえ、私が欲していたとしても。


自分で作った規則を、初めて自分から破った撫子。

頭の中は、いけないという気持ちでいっぱいだった。どんなに私がさみしい時でも、二人で決めた約束は守ってきたからだ。

どうしてタブーを犯すの? なんでこんなことするの? そんな余計な考えばっかりが頭を巡って、私の肩を優しく包む撫子の手も、想い焦がれた唇の感触も、ふわふわとして何も感じられなかった。

涙だけが、なぜか流れていた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
94Res/85.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice