過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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7:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:29:30.40 ID:JxUSEnW0o
「めぐみ」
無意識に今までを振り返っていたところに呼ばれて、はっとなった。
撫子は、優しくて真剣な目で私を見据えていた。
「……なに?」
何が来るかわからなかった。でも、何かが起こってしまう気は最高に感じていた。
風の音も、遠い喧騒も、激しい私の胸の鼓動さえ聞こえなくなったと思った時に、撫子は私にキスをした。
それはありえないことだった。キスをしたことは何回かあったけど、それは完全に二人きりの空間でだけ。
誰かに見られる可能性のある屋外では、絶対にそんなことはしないと二人の間で決めていたのだ。それはたとえ、私が欲していたとしても。
自分で作った規則を、初めて自分から破った撫子。
頭の中は、いけないという気持ちでいっぱいだった。どんなに私がさみしい時でも、二人で決めた約束は守ってきたからだ。
どうしてタブーを犯すの? なんでこんなことするの? そんな余計な考えばっかりが頭を巡って、私の肩を優しく包む撫子の手も、想い焦がれた唇の感触も、ふわふわとして何も感じられなかった。
涙だけが、なぜか流れていた。
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