過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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8:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 17:29:58.31 ID:JxUSEnW0o
「…………」
長くもなく、短くもない時間が流れて、愛しい唇は離れた。
目を開けると、私の視界は歪んでいる。大粒の涙は零れ落ちたルートを辿って、私の頬をさらさらとくすぐっていく。
その歪んだ景色の中で、撫子も泣いていた気がした。
私が涙を拭うのと同時に、撫子はくるりと背を向けた。
「明日も、ここで」
それだけ言って、撫子は私から離れるように歩いて行った。
桃色の視界の中で小さくなっていく背を、私は追いかけることができなかった。
そのまま動けずに、何も言えずに、桜の中で立ち尽くすことしかできなかった。
夢が、終わりを告げた。
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