過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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81:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:16:01.02 ID:JxUSEnW0o
「ごめんね、めぐみ……」
「……うん?」
「私、めぐみの気持ち、ちゃんと考えてあげられてなかった……受験の時ぐらいからあんまり会えなくなって、これで住む距離まで離れちゃったら、私よりも近い人を新しく探した方がいいのかもしれないって、勝手に思い込んじゃってたんだ……」
「…………」
手をつないだまま桜の木に背を預けるようにして、私たちは並んだ。昨晩の雨が晴れて、今日はからっと晴れていた。
「めぐみからのメールも電話も、本当はすごい嬉しかったよ。でもあんまり、ちゃんと返さない方がいいのかと思って……」
「最後のキスは、どう取られてもいいと思ったんだ。別れでも、約束でも……」
「私はまだまだ好きだったけど、それで縛るのはめぐみのためにならないと思って。それでも想いつづけてくれるなら、どうかルールを破った最後のキスを忘れないで、待っていてほしいって……」
「だから連絡が来なくなったときは、だれか新しい人ができちゃったんだなって思った……最初からそのつもりでよかったはずなのに、私は櫻子にお願いしてまで、めぐみのことを気にかけてもらっちゃってた……」
「あの子がバカで助かったんだ。どうしていいかわからなかったところに櫻子が電話をくれたから、私の頼りの綱は櫻子しかいなかった。あの子が余計な気を回して電話をくれなかったら、私はきっと……めぐみを諦めようとして、自分を閉じ込めるところだった……」
撫子はつないだ手を離さなかった。恋人つなぎにしてみてもまったく拒否することなく、むしろ私よりも強い力で握り返してきてくれた。炎天下で汗ばんでしまうことが恥ずかしかったが、きっと恥ずかしがりやの撫子の方がそこは気にしていることだろうと思った。
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