過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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122: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 01:41:38.89 ID:8uChUkcw0
 京太郎がわからないといった顔をするので、虎城が説明をした。

「数日前のことよ。ヤタガラスに、ある事件の情報提供者が現れたの。

 ある事件というのは、退魔の家系に連なっている人たちが行方不明になるという事件。

 ただの人攫いではなくマグネタイトが多い非戦闘員ばかりを狙った犯行だった。みんなぴりぴりしてしょうがなかったわ。

 マグネタイトを多く持つ退魔の家系は、名門が多くてそれこそ龍門渕のように地域に根ざしていることも多いから、ヤタガラスの幹部になる人も多いの。

だから家族をさらわれた幹部は面子をつぶされたり、心配したりで、雰囲気は最悪だった。

 ヤタガラスたちも必死になって探したわ。でもなかなか見つからなかった。報告書でチラッと書いていたけど、かなり大掛かりな犯行でね、

 異界を生んでまでヤタガラスから逃れようとしていたみたい。まぁ、結局は十四代目が解決したからよかったけど、普通なら見つけられないわ。

山ほどある異界の中からピンポイントで狙い打つなんてよほどの幸運がないとね。それこそ、異界が開いたところを目撃するとかしないと、まず見つけられないわ。

 まぁ、伝説の十四代目だから、見つけられるのでしょうね。

 何にしても、さらわれていた退魔の家系に連なっている人たちも無事に戻ってきて、丸く収まったのよ。

さらわれていた人たちに傷ひとつなかったわけだから一応事件は終わった。

 それで人攫い事件は終わったけれども、人攫いには黒幕がいることがわかったの。松常久はその中の一人と疑いをかけられていた。

 それで、ここで問題なのがどうやってその松常久を見つけ出したのかってところ。私が知る限り松常久は良心的なヤタガラスの準幹部だった。

でも今回はあっという間に内偵を受ける立場になった。よほどのことがなければこんなことはないわ。

 何せ幹部になれるかもしれない構成員を即座に疑ったわけだから、何か理由があるはず。

私はその理由というのが情報提供者からの情報だと思うわけよ。それこそ、松常久が関係者の一人と一発でわかるような書類を見つけたとかね。

 そして、この重要な情報提供者は十四代目葛葉ライドウによって秘密にされている。

 私は何でだろうって考えるわけよ。で、須賀くんを見ていたらピンと来た。中級退魔士相当の戦闘能力を持つのにもかかわらず、サマナーの常識を知らない魔人。しかも、人がいい。

 言いたいことはもうわかるわよね? 私は須賀くんが情報提供者じゃないかとにらんでいるわけよ、十四代目はあなたを守るために情報を漏らさなかったってね」

 虎城は自分の抱えていた疑問と、疑問に対する自分の考えを京太郎に話した。ずいぶんな勢いだった。推理を話したくてしょうがなかったのだろうというのがわかる。鼻息が荒かった。

 簡単にまとめてしまえば謎の情報提供者の正体は京太郎ではないのかというだけのことである。そして彼女は答えあわせを求めていた。

もちろん、京太郎さえよければという注意書きがあるので、無理にということはない。


 鼻息の荒い虎城に迫られて、京太郎は困っていた。急に元気になった虎城の勢いに負けているのだ。

 京太郎の心境を察して運転しながら虎城にディーが説明をした。

「虎城さん、ほとんど正解だ。

 本当なら、あまり深入りしないほうがいいといいたいところだ、立場上な。

 しかし事件の内偵を虎城さんのチームが進めていたのなら、秘密にしておく理由もない。大体予想もつけられているみたいだし。

 だが、須賀ちゃんを問い詰めても無駄だ。須賀ちゃんが松常久を告発したわけじゃない。須賀ちゃんの仲魔が情報を提供したのさ。

だから須賀ちゃんに何かを問い詰めたとしてもぼんやりとしか答えられない」

 スポーツカーを運転しながらディーは答えていた。ディーがあっさりと答えを話したのは、すでに隠しておきたいところがほとんど明らかになっているためである。

それに京太郎がすでに魔人であると告白しているため、情報を隠しておく理由がないのだ。


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