過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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138: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:34:58.99 ID:8uChUkcw0
 ノイズが収まると別の場面に移った。京太郎がいたのは、まっさらな空間だった。空には何もなく、地面にも何もない。真っ白な空間がずっと続いているだけの世界である。しかしこの真っ白な空間には京太郎以外の何者かが居を構えている。

 真っ白い空間の夢を見始めると、夢を見ている京太郎の体がわずかに揺れた。スポーツカーの助手席で眠っている現実の肉体が動いたのだ。

それは何か驚くようなものを見たときの反応とよく似ている。スポーツカーを運転していたディーも不思議な空間から顔を出して外の景色を見ていた虎城も、京太郎を見て少し驚いていた。
以下略



139: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:39:20.68 ID:8uChUkcw0
 夢を見ていた京太郎の肩にディーが触れた。左手で、京太郎の右肩に触れたのだ。少し強めに触れているので、京太郎の体が揺れた。

京太郎を目覚めさせようとしているのだ。このまま京太郎を休ませてやりたいが、できなくなったのだ。残念なことに松常久とその子分たちが許してくれそうになかった。

 オロチの石碑の案内は正しかった。案内に従い道を進んだスポーツカーは見事に蒸気機関が空を曇らせているもとの世界まで戻ってきた。虎城とディーは非常に喜んだ。ここまで戻れば、後は龍門渕へ戻るだけだからだ。
以下略



140: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:42:27.25 ID:8uChUkcw0
 地平を埋め尽くさんとする悪魔の群れをみた京太郎がこういった。

「よくマグネタイトが持ちますね、あんなに。すげぇ、空がみえねぇ」

 感心しているように見える態度だった。しかし、すごいと思っているのではない。京太郎の表情と口ぶりは、松常久を馬鹿にしている。
以下略



141: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:47:27.93 ID:8uChUkcw0
 しかし空を埋め尽くし地面を占拠するほどの大群を前にして笑えるのは京太郎とディーくらいのもので、虎城は完全に血の気が引いていた。

 当たり前の話だが、数が多いというだけで武力は大きくなる。そして虎城の眼から見て空と地面を占拠する悪魔たちは虎城の武力では倒せない悪魔ばかりだ。

彼女がたった一人で立ち向かうようなことをすれば、あっという間につかまって、終わるだろう。
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142: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:50:39.29 ID:8uChUkcw0
 しかし虎城の不安はなくならなかった。

「怖い」

とスポーツカーの不思議な空間で震えていた。
以下略



143: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:53:30.57 ID:8uChUkcw0
 京太郎が引き金を引きはじめて十秒ほど後のこと、追いかけてきていた装甲車が一台二台と動かなくなった。動けなくなった装甲車たちはそれぞれ普通の状態ではなかった。

タイヤが失われているものもいれば、車体の中心部分が削れれているものもあった。間違いなく京太郎の射撃の仕業である。

しかしおかしなことがあった。それは装甲車についている傷跡だ。デリンジャーでつけられるような傷跡でなかった。
以下略



144: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 02:56:56.96 ID:8uChUkcw0
 なぜだか、楽しそうに笑っている京太郎とディーを無視して虎城は京太郎の右手に回復魔法をかけた。そしてこういった。

「須賀くんってさ、ヤタガラスに向いていると思うよ」

 虎城は少しだけ元気を取り戻していた。少なくとも命の危険というのは感じていないようである。しかし、神妙な面持ちに変わっていた。
以下略



145: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 03:00:31.72 ID:8uChUkcw0
 更にアクセルを踏み込みながら、スポーツカーを先にディーが進める。すると一度見たような景色が再び京太郎の前に広がりはじめた。

数時間前に京太郎が始めて見たオロチの世界とよく似た景色だ。

 ディーがこういった。
以下略



146: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 03:04:41.16 ID:8uChUkcw0
 そしてメッセージを受け取るやいなや、強烈な痛みを京太郎は覚えたのだった。眼球を納めている部分が熱を持っているような感覚である。

 メッセージがあまりにも強い力で送られてきたのでマグネタイト保有能力の低い京太郎には受け止め切れなかったのだ。結果、痛みを感じたのだ。

 とんでもない激痛が過ぎ去る前に、京太郎は大きな声を出した。
以下略



147: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 03:08:52.81 ID:8uChUkcw0
 ディーの解説にある発生したという山を見ようと虎城きょろきょろとしていると、ディーはあきれたようにつぶやいた。

 「あいつらいったいどれだけ無茶をするつもりだ?

 オロチが目覚めるほどの攻撃を後先考えずにぶち込んだのか? どれだけのサマナーに影響があると思ってんだあのおっさん。
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148: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/04/21(火) 03:13:06.29 ID:8uChUkcw0
 オロチの動きがやや収まった後のこと。まだ世界自体がゆれていたがそれほど気にならないといった状態だった。そんなときだ。

 つぎつぎと大きな山がオロチの世界に現れていた。一番はじめに大きく揺れたときにも山のようなものが現れたが、そのときに現れたのと同じようなものが次次と現れてきたのである。

今まで蒸気機関と道しかなかった世界に現れたいくつもの山々はずいぶんおかしな印象があった。しかし山脈のように連なってはいなかった。
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