過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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249: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:18:03.21 ID:py78Qnqv0

 アンヘルとソックが何かたくらんでいるのに天江衣は気がついていたけれども、文句を言う前に連れ去られていた。

天江衣を連れ去ったのは、これから天江衣の別館に向かいそこで京太郎から受け取った限定版の漫画を楽しむためである。アンヘルがソックのハンドサインに従ったのは、そろそろ暇だったからである。

 連れ去られている天江衣は

「真白の運転よりはずっとましだな」

と心の中でつぶやいていた。

 自分の仲魔二人が天江衣を連れ去ったあと、京太郎は青ざめていた。完全に血の気がひいていた。自分の仲魔が天江衣を連れ去る現場をばっちり見ていたのだ。どう見ても犯罪の瞬間だった。

 いくらなんでも問題になるだろうと京太郎は龍門渕透華と、国広一に視線を向けた。

 そこには平然としている龍門渕透華と国広一がいた。彼女たちにしてみると、アンヘルとソックの行動はそれほど珍しいものではないのだ。

というのが、京太郎が眠っている間にアンヘルとソックは龍門渕で事情聴取を受けていた。

そのときアンヘルとソックはあまりにも退屈だったので十四代目葛葉ライドウ付き添いの下で天江衣と遊びたおしていた。

 天江衣が暇だったというのとアンヘルとソックが温厚だったこと、そして十四代目葛葉ライドウが見守ってくれているというので、簡単に顔あわせができたのだ。

 そのときの様子を龍門渕の関係者は知っているので、アンヘルとソックが天江衣を連れ去るのはそれほど驚くことではなかった。

 平然としている二人を見たとき、余計に京太郎の顔色は悪くなった。平然としているということは、普通の光景であるということだろう。つまり自分の仲魔はよその家でいつも無茶をやっていたということになる。京太郎は胃が痛くなった。
 

 顔色の悪い京太郎が

「新人三人ってのはアンヘルとソックと俺ですか?」

と聞いた。自分と同じようにヤタガラスに入ってきた新人が入るという話を国広一がしているのを聞いて、少しばかり気になったのだ。

 特に詮索しているわけではない。何か問題があるわけでもない。話の種として拾っただけのことである。気分をすこしでもまぎらわせたかった。

 京太郎の質問に、龍門渕透華が答えた。

「違いますわ。須賀京太郎、淡河鯨(おうご くじら)、龍門渕硯(すずり)の三人です。あなたはこれからほかの二人と班を組み、沢村智紀を班長として行動してもらいます。

実際に動いてもらうのは訓練が終わってからですから、心配は要りませんよ」

 疑問に答えている龍門渕透華は苦い顔をしていた。何か気に入らないところがあるようだった。

 一方で京太郎は、答えを聞いて笑った。大きな声で笑ったのではなく、本当に小さく笑っていた。特に何がおかしくて笑っているわけではない。

ただ、自分の友達が自分と同じようにヤタガラスに入るだけだ。たいしたことではない。しかしなんとなく愉快に感じたのだ。

それで思わず笑ってしまった。それだけだ。のんきな男だった。



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