過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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250: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 01:21:37.86 ID:py78Qnqv0
エピローグ



 ほんのすこし時が進みインターハイ長野県大会当日。

 その会場で、京太郎は宮永咲を探していた。京太郎の学生服には腕章がつけられている。腕章にはヤタガラスの紋章と龍門渕の紋章が刺繍されていた。豪華な腕章だった。

宮永咲を探しているのは、いつになっても戻ってこないのを部員たちが心配したからだ。二十分前にお手洗いに言ってくるといって出て行ったきり戻ってこない。宮永咲の試合までに戻ってこれなければ、当然だけれどもまずいことになる。そこで京太郎が探しに行くことになった。

 ほかの部員たちが動いてもよかったのだけれども、京太郎が

「探してくるよ。イスに座りっぱなしはつらい」

といって自分から動いたのだった。

 そして、京太郎は会場を探し回っていた。灰色の髪の毛で、身長も体格もいい京太郎はなかなか目立つ存在であった。その証拠に、京太郎と廊下ですれ違った女子生徒など、携帯電話の警告音を聞いて真っ青になっていた。

 女子生徒だとか男子生徒とすれ違いながら、京太郎は人気のない廊下を進んでいった。控え室から一番近いトイレとはまったく違う道である。

普通なら、一番近いトイレあたりを探すのが正解だろう。しかし人気のないまったく関係なさそうな道を京太郎は進んでいった。

 人気のないところを進んでいるのは、道をたずねられないところに宮永咲がいると予想したからだ。

 道に迷ったとしても人がいるのならば、教えてもらえばいい。案内掲示板があるのなら、参考にすればいい。しかしそれがないところも、もちろんある。京太郎はそのように考えて、人がいないような道、それも案内掲示板もないような地味な場所を探して回っていた。

仮に、その間に宮永咲が普通に戻ってこれたのならば、それでまったく問題なかった。

 そうしてまったく人気のない寂しい行き止まりに京太郎はたどり着いた。会場のメンテナンスをする人たちしか通らないような道だった。

 一応まだ道はあるのだ。行き止まりには立ち入り禁止といって書いてある金属の扉がある。しかしここまで来ても宮永咲の気配はなかった。

研ぎ澄まされている感覚が匂いを嗅ぎ取っているけれど、本人は見つからなかった。


 行き止まりにたどり着いた京太郎の前に、奇妙な影が現れた。京太郎が歩いてきた道を戻ろうとしたときである。どこからともなく、影が現れたのだ。

言葉通りの影であった。物体ではなく、ただの影だ。道を戻ろうとする京太郎の前に立ちふさがっている。しかし影であるためにとても頼りない。まったく京太郎の歩みを止められそうになかった。

ただ、この影のおかしいのは、顔があるのだ。影に顔はおかしいが、顔のような隙間があったのだ。そしてその顔はどう見ても憎しみに満ちていた。

 たよりない影をみた京太郎はすぐに構えを取った。京太郎の構えは数日前のものとはずいぶん違っていた。戦うための構えである。空手の構えとよく似ていた。この構えはハギヨシから教わったものである。

 京太郎が戦うための構えを取ったのは、明らかに悪魔だったからだ。そしてどう見ても自分に対して攻撃を加える意思が感じられた。ならば戦わなくてはならないだろう。しかしずいぶん京太郎は冷静だった。楽しさというのは少しも感じていなかった。

 構えを取った京太郎はすぐに攻撃を仕掛けた。相手の攻撃をいちいち待つようなことはしなかった。また、会話をするということもなかった。お互いに敵だと思い、牙をむいているのなら言葉は必要ないのだ。

 そうして攻撃を仕掛けたのだけれども京太郎の拳は空を切った。京太郎の正拳突きはお手本そのままの攻撃だった。まっすぐ打ち込んだ。非常にすばやかった。無駄のない攻撃で、センスに頼った攻撃よりもずっとよくなっていた。しかしそれでも攻撃は失敗した。

 おそらく京太郎が完全に武術を身に着けていたとしても、もっと経験をつんでいても攻撃は失敗していただろう。

なぜならば、この頼りない影は京太郎の影にへばりついているのだから。自分が動けば影もまた動く。二人の距離は永遠に変わらない。拳があたることも永遠にない。

 京太郎は構えをといた。すぐに頼りない影の理屈を理解したからである。そして、影を消し飛ばすために魔法を使おうとした。京太郎の得意な魔法は稲妻だ。

光を放つ稲妻を打ち込める。多少の被害は出るだろうが、消し飛ばせるだろうと考えたのだ。

 そうして京太郎が魔力をこめ始めると、頼りない影が大きく震え始めた。ブルブルと震えていた。そして頼りない影の胴体の部分に大きな穴が開いた。

 頼りない影の腹に大きな穴が開いたのを見て京太郎は呆然とした。さっぱり何がおきているのかわからなかった。

 また、影にあいた大きな穴から京太郎は目を離せなかった。影の腹にあいた大きな穴がとんでもない技術で打ち込まれた攻撃の痕跡だと察っせた。

少なくとも今の京太郎には打ち込めない一発である。いったいどんな存在が、この穴を開けたのだろう。どれほどの高みにいるのだろう。そう思うと目が離れなかった。



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