12: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/03/31(火) 06:30:44.32 ID:zAK3ZPJb0
唯のMCも絶好調だったなぁ。
「私達がここを卒業して10年で、デビューして5年。先週ツアーラストの東京ドームが終わって、
このタイミングで卒業式! 絶対に今日はやりたかったの! さわちゃん、呼んでくれてありがとー」
「あれ? さわちゃんって呼んじゃまずかったんだっけ?」
講堂で一斉にさわちゃんコールが起こる。当の山中先生は肩をがっくり落とし、
来年度からのあだ名が早くも決定してしまったことをうなだれていた。
「そして今日は私たち、高校を卒業して以来の制服なんだけど、澪ちゃんが
スカートきつい、ブラウスはもうほんと無理だから新調してもいいかって……」
「こら! 唯!」
「ごめんごめん。いやー私たちもこんななりしてますけど、
あずにゃん……梓以外は来年30歳なんですよ? だからね、もうちょっとね、大人っぽくセクシーにね……」
「やれないよな……私たちは」
「ほら、もう次行きましょうよ」
「まったく……」
セクシー、と言いながらそれっぽく体をくねらす唯に嘆息しながら放つりっちゃん。
それを見てマイクから遠いところで爆笑するむぎ様。呆れる澪と梓。
「まるでラジオを聴いてる時みたい」と思いながら私は笑いつつ、
いつからかしなくなった唯の「あずにゃん」を聴けて内心にやにやしていた。
そしてわたしは先週の東京ドームを思い出していた。
あの時もみんなすごく楽しそうで、最高のライブだったけど、
今日はなんかすごく……しあわせだ。聴いてるわたしたちも、演奏してるみんなも。
5人全員がステージでいっぱいMCして、笑いながら演奏して、歌ってる。
「ごはんはおかず」でほかほか!ってドラムを叩きながら口だけ動かして笑うりっちゃんと目が合い、
「Utauyo!MIRACLE」で大好きをありがとう! って歌いながらぴょんぴょんしてるむぎ様ににやけて、
「Singing!」の最後のサビに入る直前、「歌って!」と右手を高く突き上げた澪に涙が溢れ、
「U&I」の間奏のツインギターで唯と目を合わせて笑い、最後のサビでは、パートが再開するまで
両手で耳をすませて、わたしたちの歌声を聴きながら目を閉じる梓に、思いよ届け! と歌う。
そして唯は、いつもいつも、優しくて、あったかくて、みんなを照らす太陽みたいだった。
今、わたしの目の前にいる5人は、間違いなく、放課後ティータイムなんだ。
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