過去ログ - 【咲-saki-/安価】京太郎「ギャルゲー…?」 玄「おもち!おもちィ!!」【part2】
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713: ◆I3gIBTUqAk[saga]
2015/04/11(土) 21:24:10.97 ID:WPFWp15Eo




そうして雪の降る夜の校舎の屋上の扉の前まで来た彼はその扉を開け放つと同時に彼女の名を呼んだ。

「淡ッ!」

雪の降り積もった真っ白な屋上に一色、暗がりの中で尚輝く金色の髪がびくりと震えて振り向く。

「キョー……タロー……?」

随分泣いたのか彼を見つめるその目は真っ赤だ。

「キョータロー……キョータローッ!」

自分のを見つけてくれた、自分に会いに来てくれた、自分の名を呼んでくれた。
そんな彼をその目で確認した彼女は顔をくしゃくしゃにしながら彼に飛びついた。

「待って……たんだよ、ずっと」

「ああ」

「電話した、何度も、何度も何度も」

「ああ」

「もう……来ないと思った」

「すまん」

胸の中で泣きじゃくる彼女に一言謝ると、彼は鞄から『クリスマスプレゼント』を取り出した。

「……それ」

彼女の潤んだ目がそれを見つめる。

「メリークリスマス、淡」

そう言って彼女の首にネックレスをつける。可愛らしい星の装飾が施されたそれは、以前彼らが買い物に出かけた時に見つけたものだ。
高校生のお小遣いでは到底買うことの敵わないそれを買う為に彼は彼女と会う時間を削って必死に働いていたのだった。

「これ……だって、すっごい高くて……」

「買うためにバイトしたんだ。でもそのせいで一緒にいる時間作れなくって、ごめんな」

彼女の両目から更に涙が零れ落ちる。

「でもさ、このネックレスを見つめるお前の顔が忘れられなくて」

「それに……お前に似合いそうだったから」

照れくさそうに笑う。

「私も……これ……」

彼女は不格好なマフラーを取り出して彼に手渡す。

「……自分で編んだのか?」

「上手く、いかなかったし……キョータローのに比べたら全然だけど」

「そんなことねーよ」

受け取ったマフラーを巻いて彼女の頭を撫でながら言う。

「すげーあったかい、最高のプレゼントだよ」

「……キョータロー」

「なんだ?」

「私、来年はもっと上手に編む」

「そっか……楽しみにしてるよ」

「うん」

いつの間にか雪はやんで雲も晴れて、夜空には星が2人を包むように輝いていた。



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