16: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/04(土) 06:05:49.77 ID:JO/9j/TF0
それからの日々は、痛みと共にありました。
同じ“女”で、血の繋がった“姉”。絶対に赦されない−−そんな事はすぐに解りました。
来る日も来る日も、私は姉の何気ない仕草や表情に
ときめく気持ちを必死に堪えて、隠して過ごしました。
そうして、いつからか家中が寝静まった夜、お姉ちゃんを想ってこっそり自分を
慰めるようになりました−−そしてその後は決まって夜が明けるまで泣き明かしました。
姉を想ってする事への罪悪感と、今まで感じたことのないとてつもない快楽と、虚しさと。
こんな事してはいけないのに、止められない私の弱さと、膨れ上がる姉への想いが、
ひとり絶頂へ達した後、いつもいつも押し寄せるのです。
一度だけ、そんな私の泣き声を聞いてしまったお姉ちゃんが、夜中に部屋へやってきた事がありました。
どうしたの? と訊くお姉ちゃんを必死に誤魔化して、私は無理に笑顔を作りましたが、
その優しさに胸が熱くなって、余計に涙が溢れます。
私の髪を撫でるその手も、私を抱きしめるその身体も、
私が心から欲しているとお姉ちゃんが知ってしまったら……。
そう思うと申し訳なくて、苦しくて、だけど、どうしようもなく温かくて−−
朝まで涙が止まらなかったのを、よく憶えています。
お姉ちゃんは、何の力にもなれなかったことを悔いてでしょうか、
「ごめんね……ごめんね……」といつからか一緒になって泣きながら抱きしめてくれていました。
それからです。
私が声を殺して泣くようになったのは。
そのくらいに、絶対に気付かれてはいけないくらいに、想いは膨れ上がってしまっていたから。
私はお姉ちゃんにだけは気付かれないよう、迷惑をかけないよう、声を殺して泣くようになりました。
そして時間が少し経ち−−お姉ちゃんが桜が丘に合格して軽音部に入る頃には、
私は自分の気持ちとうまく付き合うことを考えるようになっていました。
姉を女として愛してしまった自分が赦せない分、
家族としては精一杯まっすぐ愛していこうと、そう決めたのです。
お姉ちゃんも楽器を始めて、友達ができて−−私の知らないところで世界がどんどん広がっていくのは
少し寂しかったけれど。それ以上に変わっていくお姉ちゃんが
かっこよくて、来る日も来る日もこっそりときめいていました。
そしてそんな中でも、変わらず私を頼り続けてくれること、甘えてくれること。
そして何よりも近い“家族”でいてくれることがとても嬉しかったのです。
しかし、いつも嘘をついているような罪悪感と、妹として私を愛してくれているお姉ちゃんを、
どうしようもなく裏切っているような、その気持ちを消し去ることは出来ませんでした。
それでも、私が、姉を追って桜が丘に入学する頃には、
その痛みを隠して生きていく覚悟さえ、出来ていたのです。
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