3: ◆DFyQ72NN8s[saga]
2015/04/01(水) 10:36:49.81 ID:w+Y5NOKn0
憂の唯先輩への愛情は、家族愛に属するものでも、留まるものでもなかった。
そして何より皮肉なのは、その想いに誰より嫌悪していたのはその憂自身だったのだ。
憂はその募る想いを吐き出すことも出来ず、自らへの嫌悪を開き直ることも出来ずに。
やってきた唯先輩の卒業と巣立ちを、あっけなく迎えてしまった。
憂はこの広すぎる家で、ひとりぼっちになってしまったのだ。
私たちの今は、いつも学校が終わるとふたりでこの家に帰ってきて、
ふたりで晩ご飯を食べて、一緒にお風呂に入った後、ベッドで抱きしめ合う。
お互いの体温を混ぜ合わせるように、身体を重ねて、一緒に弾けた後、
おやすみのキスをして、生まれたままの姿で抱きしめ合って眠る。
私のこの数ヶ月の暮らしは、間違いなく憂と共にあった。
間違っている、だなんて思いもしなかった。
寂しさを埋め合わせるだけの、爛れた関係でも、構わないとさえ思えた。
私から初めてのキスをした夜。憂は戸惑いながらも私を受け入れ、抱きしめてくれた。
そのまま二人で泣きながら女になり、眠る時、憂は一言「ありがとう」とだけ言った。
きっとそれ自体も、彼女の中で悩んで悩んで、悩んだ末に出した結論だったのだろう。
それからほぼ毎晩、私たちは慰めあって温もりを分け合うようになった。
憂が捨てられない唯先輩への想いに悲しみ、少しずつ大きくなる私への想いに戸惑いながら、
ふたつは激しくせめぎあっていて、苦しみ続けているのは、すぐに分かった。
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