過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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210: ◆6J9WcYpFe2[sage saga]
2015/05/27(水) 01:38:37.30 ID:n0yFMG/N0
人通りの家が立ち並ぶ道を、一人の女性が走る。
いや、正確には逃げていると言った方がいいのだろう。
その後ろには、藍色の宝石に黒い泥のような体をした生物……通称、カースが追いかけていた。

『グルァァァ!!』

「はぁとは、おいしくなんか、はぁっ、ありませぇーん☆」

既に何キロ走ったかなど、彼女の頭の中にはない。ただ、人からなるべく遠ざけるように走り続けていた。

(くそっ、なんたってこんな町中に……っ! とにかくこいつらを引きはがさねぇと……っ!)

だが目の前に新たなカースが立ちふさがり、彼女……佐藤心の足を止めようとしていた。

『ネタマシイ……ネタマシイィィィ!!』

心「うぇえ、行き止まり!?はぁと、大ピーンチ☆って、ふざけてる場合じゃねぇ! どうするはぁと?このピンチを、切り抜けるにはぁ……」

そういうと心は、まるで右手に何かを持っていて、立ちふさがったカースを叩き斬るかのようなポーズをする。すると、その右手の中から剣の柄らしき物がでてきた。

心「必殺☆はぁと、スラーッシュ☆」

その柄をしっかり握ると、その右手を横一文字に振りぬく。

右手の柄の先には刀身が現れる、刀のようにも見える刀身は、前方に立ちふさがったカースを横に薙ぎ払う。といっても本物の刀ではなく、一般的にそれは模造刀と呼ばれる代物であったが、それでも前をどかすには十分だった。

『グギャアアアア!!』

斬りつけられたカースは不意の一撃をもらい、叫びをあげた。

最も、核に傷を付けられなかったため、怯むだけではあったが、怯んでいるすきにその脇を通って通り抜けることには成功した。

だが、通り抜けた先で――

心「ぬあっ!?」

心はつまづいて転んでしまった。

心「いつつ………」

そして立ち直ろうとして振り返ると、心の周りには先ほど追いかけてきたカースが取り囲んでいた。一体は獣型。もう一体は、先ほど斬りつけた人型。
その2体が、じりじりと心へと徐々に寄ってくる。

『……グルァァァ!!』

『ネタマシイ……ネタマシイィィィ!!』

心(こりゃ、やべえな……)

獣型のカースが駆け出し、その口を大きく開け、捕食しようとしたそのとき――

「……ぅゎぁぁぁあああああああ!!」

突如、空から何かが降ってきた。そして獣型のカースを上から見事に踏みつけるように着地した。
そして上から降ってきた何かは獣型のカースを踏みつけた後、地面を転がっていった。

心「………えっ?」

やがて電柱にぶつかって止まると、その何か……いや、少女は立ち上がった。

少女「ふぅ……グラップラーさんが言う受け身というのをやってみましたがっ……何か踏んづけちゃったのかうまくいきませんでしたっ……」

そういって、あたりを見回すと、その目線の先に心を見つける。

少女「あ、第一過去人?発見ですっ!こんにちはっ!!ユウキ・オトクラって言いますっ!」

心「………」

心は起こった状況について行けない。襲われて喰われると思った次の瞬間には、上から少女が降ってきて、獣型のカースを踏みつぶした。
既に獣型のカースは核をつぶされたのか、あるいは先ほどの衝撃で消し飛んだのか、付近に散らばった泥となっていた。

そして今はその少女に挨拶されている。
だが、徐々に頭の中で整理していって、その中でようやく絞り出された。

心「………は、はろ〜☆」

………絞り出された言葉がこれである。



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