過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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395: ◆R/5y8AboOk[sage saga]
2015/08/14(金) 03:31:32.72 ID:+FUAmXwk0




 光。


 ………――――そいつぁ丸っきりお子様の発想だぜ…


 光。


 ………――――だってあなたのおかげで守られた人がいるんでしょ?…


 ヒカル。


 ………――――これからも……光となって…この世界に平和を、導いて…



 …ヒカル…



 ………――――決まってるだろう……戦う! そして、世界を平和にする!…



 …アタシは────……




「お、おーい…?」


「……え?」

 微睡みの中に響いた声は、鼓膜を擽った優しい声の波紋に溶き解されていく。掬おうとして、霧散した声の残響は闇の中に消えて行き、それが何であったか、己でも判別がつかなくなる闇の中へと。

 ぼんやりと重い頭を身動ぎさせて、鈍い瞼を押し開けた光は「ふふっ、やっと起きたっ♪」と緩く弾んだ声を聞いた。

 頭を転がして声の方向を見ると、鼻先まで迫っていた少女の顔が視界を埋めた。少し年上。明るめの栗色の髪と、お人好しげな微笑、険を知らない瞳───知っているひとだ。

 あれは確か、ずっと前……傲慢のカースドヒューマンと相対して……自分の正義を『傲慢』と否定されそうになった時の……確か、名前は────。

「…誰だっけ…」

「あれ、顔は知ってるのかな?もしかしてちょっと有名人?なんて、うふふっ!」

 他人事のような態度に虚しい物を感じたが、あの時は変身していたのだ、無理はないだろう。と思い出せば、平静は取り繕えた。

「…あ、私高森って言うんだけど…有名人じゃないでしょ?」

 冗談めかして肩を竦めた少女───高森。の顔を眺めて、返そうとした愛想笑いは思いがけずに乾いた。まだ頭がぼんやりしている。気持ちの良い笑顔が出ない。よほどよく眠っていたのか…。
 つまらない態度だと取られたか、と思いつくも束の間。気に留めないような表情で、少女は「キミ、どうしてこんな所に寝ていたの?」と続けた。

「こんな所…?」

 見れば、頬を撫でる風に、視界の端に立つ木、体の下に敷いたのは雑草。学校の建物を少し遠くに眺め、植物に絡め取られた紅い某までもを認められる。───言われてみれば、”こんな所”だった。

 果たしてどうしてこんな所で眠っていたのだろうか。

 徐々に血の通う頭が記憶を探り、それは恐らく数分前か、数十分前か。確かアタシは。少し前までは確かに学校に居て、カースをやっつけて。



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