過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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54: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:27:30.83 ID:HEFpIzrTo

 だがアーニャにはそれを気にしている余裕はない。
 ただ攻める。反撃を与えないように、執拗に、そして渾身の一撃を織り交ぜながら。

 その猛攻はさながら暴風の刃である。今の聖痕状態のアーニャの攻撃はただの人間ならば、掠るだけで人体が欠損するほどのものである。
 確実に仕留めようとする渾身の一撃ならば、体ごとバラバラに吹き飛ぶであろう。

 女はそれをただ逸らし、力を苦し、巧みに避ける。
 暴風の中、一度でも当たれば即死という綱渡りの中で、まるで踊るように軽やかに。

 微塵の迷いさえない動きはあまりに流麗、あまりに精錬。
 最もアーニャにはそれをじっくりとみている余裕はなく、ただ仕留めるために猛攻を繰り返す。
 ただそれも女の舞踏を引き立てる物にしかなっていなかった。

 焦っていたとも、いや心のどこかでアーニャも女の動きに見とれていた部分があったのかもしれない。
 そう、気づけなかったのだ。
 アーニャは女の表情を。
 退屈じみたその表情を。すでに結末を知っている映画を見ているかのようなその表情に全く気が付くことができなかった。



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