過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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605: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/01/16(土) 18:41:18.43 ID:Ah1rtJBzo

 顔を押さえ、自らが発する感情を封じ込めようと表情を歪ませる。
 だが指の間から覗く赤い瞳はギロリと目の前のアーニャを見下ろす。

「……ア……ああ」

 その瞬間、身が竦む。
 蛇に睨まれた蛙のような、格の違う威圧感。

 辛いことを、ずっと自分に押し付けてきた弱い人格。
 それが今、目の前に表出しているというのに、それが耐えがたく理解できず、たまらなく恐ろしい。

 人間は理解できないものに恐怖する。
 数年来気づかぬところで寄り添ってきた心は、すでに怪物と化していた。

「だけど、もう終わり。

ずっと、いつか分かってくれると、こんなひどいことはやめて、普通の暮らしをしてくれると思ってたけど、もういい。

アナタは、結局ワタシを理解できなかった。

ワタシはアナタを見限った。

もうアナタは、いらない。不要なものは、脱皮(ぬ)ぎすてればいいのよ」

「脱ぎ……捨てる?

アナタは……いったい?」

 狂気に駆られていた『アナスタシア』は急に静まり返り、まっすぐ直立しながらアーニャを見下ろす。
 月光は彼女の背を照らし、赤く光るその瞳以外は影に落ちる。



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