過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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641: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/01/16(土) 19:22:35.12 ID:Ah1rtJBzo

「DIDはそんな簡単な病気ではないわ、みく。

主人格、副人格、混沌に近い精神は簡単に折り合いがつく問題ではないの」

 みくの隣で話を聞いていたのあの言う通り、そんなに簡単な話ではない。
 現在の主人格であるアーニャの意識を、ずっと潜んでいた人格が簡単に乗っ取れるほど人の心は単純ではない。

 これまで中の人格が一歩引いてきたために、アーニャは気づかずにこれまで過ごしてきたのだ。
 突如として主導権を奪い返そうとすれば、人格に様々な齟齬が発生するだろう。

「ウロボロスは他の二竜と違って魂と言うものを持たない。

代わりに別の魂を内包する。というより、一つの願いを取りこんで叶えようとする所謂『願望機』だ。

当然中の人格はそのことを理解していた。

そしてずっと心の中に引きこもっていれば、いくら清廉な心であっても腐り落ちる。

ウロボロスの隣で地獄を見続けてきた人格は自然と歪んでいったわけだ。

そして外の世界には絶望していた。外に出ることは望んでいなかったのだよ

せめて自分の代理で体を動かしている『アナスタシア』が幸せに、戦いのない平和な生活を送ってくれることを願っていたのに。

それもアナスタシア自身で否定された。

全てに絶望した人格は、自ずと考えた。『全部やり直そう』ってな」

 もはやこの世界に希望はない。
 中の人格にとって、この世界は父と母と過ごしたわずかな時間しか価値はなかったのだ。



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