過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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700: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:23:57.54 ID:H+PnEL/o0
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 アケグチの最期を見届け、イツキは腰に提げたヒョウタンの中身で口を潤した。良質なアルコールと薬効成分がケミカル反応を起こし、思考を加速させる。
 賊軍は王軍を数で上回り、王城にまで迫りながらも攻めきれなかった。六戦士の各々が自ら王にならんと望み、互いに連携しなかったことが理由に挙げられよう。
 だが、先の戦いが真の理由を明らかにした。焼かれて死んだアケグチと、飛行機の中から死臭を放っていたトホツグ。いずれも六戦士のツワモノであった。

(戦いの膠着は、賊軍最大戦力のうち二人が獣人界に不在だったから……それだけじゃない、戦力差から考えれば、六戦士の残り四人も人間界に来てるかも)

 人間と協力しハイ・テックや能力者の力を借りようとするのは、王家を滅ぼした後を考えれば当然の判断だろう。イツキ自身、似たような理由でここにいるのだ。
 人間界で六戦士をいくらか減らしておけば、獣人界に戻ってからの戦いも多少は楽になるだろうか? ……彼女の思考はそこで中断された。
 その肉体は今や空中にあり、首と四肢には何らかの黒いヒモ状物体が巻き付いている。

(なっ、何これ!? 敵!?)

 思索に耽り、気配に気付かなかったか? イツキはウカツを悔いた。得体の知れぬ黒い物体は泥めいた質感の割に強靭であり、力任せにすら引きちぎれぬ。

「イッヒヒ……ケモノ……ケモノ……ヒヒヒッ」

 悪戦苦闘するイツキの目の前で、黒い泥が集まって人の形をとった。黒い人型はイツキの胸に顔を埋め、深呼吸するようなそぶりを見せた。



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