過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆PupFZ5BZvyzZ
[sage saga]
2016/02/03(水) 22:29:50.86 ID:12lMyB4a0
……30分後! 洋子は獣人イツキを背負い、事務所への帰路を急ぐ。ひとまず信用を得たか、洋子はイツキから獣人界の現状を打ち明けられていた。
特に洋子が目をつけたのは六戦士の反乱だ。それは多分にイツキ自身の推測を含んでいたが、一連のオルトロス改造獣人事件と奇妙な符合を見せた。
(プロデューサー、もう帰ってるかな。この事件、解明にはイツキちゃんの力がきっと必要になる……)
そして、もう一つ。イツキの現時点での最優先目的、アイドルヒーロー・エボニーレオとの接触。……エボニーレオ。洋子も黒衣Pも、よく知る名だ。
相次ぐベテランの引退とニューカマーの台頭で若返り著しいヒーロー業界において、あるいは誰よりも彼女ら二人こそがエボニーレオを知るだろう。
とは言え洋子は、己の口からそのヒーローについて何かを言える気がしなかった。諸々の事情を複合的に考え、洋子はイツキを事務所に連れ込むことにしたのだ。
イツキに異論はない。不慣れな土地において、探索も戦いも上手くいかなかった。ヒーローが水先案内人を買って出てくれるなら、断る理由などない。
目を閉じると、ヒーローのうなじに触れた頬が熱く火照った。炎の能力者が生む熱であろうか? きっとそれだけではない、とイツキは自覚していた。
(センジン王も、エボニーレオに助けられた時はこんな気分だったのかな)
……イツキは不意に気恥ずかしさを感じ、それ以上の思考を打ち切った。洋子は事務所に帰り着くまでに、道を三回ほど間違えた。
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