過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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714: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 22:52:46.01 ID:12lMyB4a0

 ライオン獣人の第六感は、眼前で膨れ上がる殺気を悪霊のシルエットとして知覚した。
 白髪白ヒゲの獣人はジャケットを脱ぎ捨て、シャツの袖を引きちぎり、剥き出しのダイコンめいた腕からストレートパンチを放つ態勢に入っていた。

「何をッ……ゴアアオオオオーッ!」

 王子は獣と化して咆吼、逆位相の振動で肉体の自由を取り戻し、ストレートパンチで応えた。重い衝撃が空気を伝って建物を揺らし、カビ臭い埃が舞った。

「何の、つもりだ……ッ!」

 王子は拳を押し返しながら立ち上がり、アサミ=ロイを睨んだ。白い獣人の空虚な目には今や金色の光が灯り、煌々と輝いていた。
 伸びた白髪と白ヒゲに半分以上覆われたその顔は、古の時代に高僧のバウンサーとして西に旅立った白サルのごとく神々しい。
 王子と拳を突き合わせる剛腕には、細く黒い縞模様。サルの顔に白タイガーの腕? 然り、幻獣人の一種たるヌエ獣人こそ、アサミ=ロイの正体に他ならぬ!

「驚いたかね? 別に、呪術だの妙薬だのとは関係ない、生まれついての私の腕さ。だが、キャアーッ!」

 ヌエ獣人は拳を合わせた状態から瞬時に王子の右拳を掴み、グイと引っ張り上げた。筋肉量が多く見た目以上に重いライオン獣人の肉体が軽々と宙を舞った。

「グワーッ!」

 王子は背中から床に激突! 追撃のトーキックをネックスプリングひねり跳躍でかろうじて回避し、バック転で距離をとった。



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