過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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719: ◆PupFZ5BZvyzZ[sage saga]
2016/02/03(水) 23:03:31.52 ID:OdbudYhc0

#4

 踊り子の決死の攻撃は苛烈さを増し、ヌエ獣人を釘付けにする。火の粉や瓦礫の雨をかいくぐり、イツキは辛うじて王子のもとへたどり着いた。
 ……何たる獣人界最強の戦士にして蛮王の血を引く証、強靭な生命力であろうか。王子は既に意識を取り戻し、何やら口をパクパクと動かしていた。
 イツキは獣人の聴力を研ぎ澄ます。弱々しくかすれ、しかし断固とした声が、彼女を叱っていた。

「ぼくが、あれしきで死ぬものか……それより、さっさと、あの火の戦士を、たすけに行け……!」

「王子……ッ! はい、仰せの通りに……!」

 イツキは手の甲で涙を拭い、頷いた。王子が生命の火を取り戻した今、彼女の心を乱すものは何もない。
 ヒョウタンの中身をグイと呷る。灼熱が喉の奥に流れ込み、イツキの顔は……否、顔のみならず全身が、紅潮というには赤すぎるほどに色を変えた。
 イツキは着衣を脱ぎ捨てた。産毛めいた薄毛が瞬時に伸びてオーカー色の毛皮と化し、裸の胸元を、腰周りを、四肢をフサフサと飾った。
 ……遂に膝をついたバーニングダンサーに断頭チョップを繰り出さんとしていたヌエ獣人は、ただならぬ圧力を感じ、トドメを断念した。



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