過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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74: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/24(金) 01:26:40.95 ID:NGKYIe+ko

 肉を引き裂く鋭い音と同時に響くビチャビチャという粘性を少し持った水の音。
 同時に眼前に流血が迸る。
 頸動脈を一瞬のうちに掻き切られたみくとのあは、赤い噴水をスプリンクラーのように周囲に塗り付けながらその場に崩れ落ちた。

 アーニャにとって見慣れた光景。
 自分を含めた3人での会話以上に、慣れ親しんだ赤色。
 網膜に焼き付いている赤色は、何度も見てきた断末魔の色彩。

 アーニャの右手にはナイフが握られている。
 慣れ親しんだ得物には真新しい赤色が滴る。
 そして体は自然な動きで、一番奥に座っているアーニャからマウントポジションを取り眼前にナイフを突きつけた。

 そして向かい合うアーニャとアーニャ。
 目があった瞬間、その何も映さぬ瞳を見た途端にアーニャは我に返る。

「ダー……私は、何を?」

 見下ろすは自分と全く同じ顔をした人間。
 依然ナイフは突きつけたまま。いや、今のアーニャには我に返っても体を動かすことがなぜかできない。

 自分自身と同じ姿をした者の瞳からアーニャはなぜか逃れられなかった。
 まるで鏡を前にしているかのようで、あまりにも見慣れている自身の姿は他人として実体を持つと極端に不気味に見える。

「殺さないのですか?」



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