過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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◆OJ5hxfM1Hu2U
[sage saga]
2016/02/10(水) 16:58:40.08 ID:jNcq/NRi0
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アイはすっかり冷めきった紅茶をすすり、カップを置いた。斉藤洋子と黒衣Pは顔を見合わせ、頷きあった。
洋子が離席し、黒衣Pは無表情なハイ・テック黒子ヒーローマスクを装着。マスク越しのくぐもった声が、朗らかに言った。
「アンタに解散の危機を助けられるのは二回目か。結構申し訳なく思うぜ」
「それに、あんな空気の中で食べるのは愛梨ちゃんに失礼だし。ねっ?」
洋子がアップルパイ(しかもチョコがかかっている!)大皿を応接机に置き、黒衣Pに包丁を渡した。
アップルパイは既に4対6で分割されていた。何かのはずみに手元が狂ったか。それだけで二人の仲を危機的状況に追い込むアップルパイとは如何ほどのものか?
アイの聴覚はハイ・テック機器の高速演算がもたらす低く唸るような音を聞き取った。そして
「トゥオーッ!」
シャウトとともに包丁が一閃、4対6のアップルパイは4対3対3に分割されていた。
「賢明であれ。最初からこうしときゃ良かったんだな」
「……ん?」
アイは訝しんだ。4の方には包丁を入れないのか? 内心浮かんだ疑問に答えるように、洋子はキッチンペーパーとラップで4のパイを包み、アイに差し出した。
「はいっ、授業料とバレンタインのおすそ分けです!」
「……ふふっ、なるほど。私はただ世間話をしただけだが、おすそ分けならありがたく頂くよ」
アイはパイを受け取り、ソファから立ち上がった。いい時間だ。土産までもらって長居するのも格好が悪い。
玄関を出てコンクリート階段を下り、踊り場でアイの姿が消えるまで、二人のヒーローは彼女を見送っていた。
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「……ああ、しくじった」
アイはため息をついた。道端に停めた軽トラックの荷台には18本のサイバネ義肢。そもそもの目的は、この面倒な戦利品の処分を押し付けることだったのだ。
今からもう一度顔を出すか? あり得ない。長居するより不格好だ。
「さて、どうしたものかね?」
アイは運転席に座り、彼女を叱るかのように騒ぐハナと茨姫をあしらいながら、パイの包みを開いた。時間を経てなお、その匂いは甘く香ばしい。
この甘さはきっとニューロンに効くだろう。食べ終える頃には妙案が浮かぶ。アイはそう確信していた。
(終わり)
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