過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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787: ◆R/5y8AboOk[saga sage]
2016/02/24(水) 07:43:44.90 ID:ljDzQOQtO
 直後、やおらと目線のあたりまで屈んできた少女の冷たい瞳と唇の印象が、少しびくりとした寒気を伴って駆け抜けるのを知覚する。

「…さて、ボクはキミに用事があったのだけれど、このままだと二人とも無事じゃ済まない」

 …というのは、先程から痛いほどに突き刺さるラプターの視線を感じていればわかる。

 自分ならまだしも、民間人であろう彼女まで難癖で巻き添えにしようという事実を認めれば、腹の底で渦巻く熱が噴出しかけるが、しかし、それは得策ではないと認識する自分も居る。

 ライトはどうなのか?と意識を飛ばしてみるが、ライトは先ほどから何か集中するように沈黙を寄越したままだ…。

 途端に芯を失った気分にもなって、当惑する体を浮遊させる光の気分を知ってか知らずか、少女が次の言葉を寄越してくるのは少々間を置いてからだった。

「ボクならキミをここから一瞬で逃がせる。どうだい?ちょっと取引をする気分でさ」

「えっ…」

 と、思わず声が漏れ出ていれば、いよいよ優柔不断になっていると知れる。

 今度こそライトに直接声をかけてやらねば────いや、この会話を聞いていないわけではあるまい。
 いつもなら直ぐにでも指向性を示してくるくせに、今度に至っては一体どうしたというのだ?───。

「逃げる?…逃げるって言ったよなァッ!」

 …瞬間!耳をじっとそばたてていたらしいラプターが、その一言に弾き出されたように、有無を言わさぬ爪を振り上げて突進を放つ!
 土煙を巻き上げ、砲弾さながらに迫ってくる古の竜にぎょっとする光をよそに、併せて動いた少女の唇は仄かに吊り上がっていた。


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