過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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797: ◆R/5y8AboOk[saga sage]
2016/02/24(水) 07:52:03.21 ID:ljDzQOQtO
「…ライト?」

 数秒ほどの沈黙が流れ、居たはずの相棒の声は聞こえない。

 はっと思って自分の体を精査し、次にぐるりと周囲を見渡してみた光は、そこで漸くライトの姿がすっかり消えていることに気付いた。

 馬鹿な、いつの間に…というのは考えるまでもなく、不意の能力に掛かってこんな所に飛ばされた時に引きはがされたと見て違いない。

 何たること。完全にアウェーの空間に引きずり出された挙げ句、孤立無援────。腕にも、手の平からも、正義を成すための重さが消えていることが冷たい実感となって駆け抜け、光は途端に不安定になったらしい己を見つけた。

 青ざめた顔を、不安を取り繕うようにして左右に振り、どこだ、どうする、動くべきか、動かざるべきか?─────。


「フフ…心配しなくとも、無事だよ…キミも…、ライト君も」

「…お前っ!」

 不意に小さく反響する声が響き、声のした方へ振り向いた先。先刻まで聞いていた声ならば聞き間違えようは無く、想像した通りの澄まし顔がそこにはあった。

「そう睨まないでくれよ…そうだね、無礼を詫びよう。ボクはアスカ、二宮飛鳥…キミのことはよく知らないけど、キミのことをずっと探していた」

 腰掛けていた荷物の山からひょいと飛び降り、乱れたエクステをすっと撫でながら、二宮飛鳥は言った。

 先程から言うとおり、敵意は感じ取れないが、しかし、光が警戒を解く理由にはならない。
 二宮飛鳥はそれを認めるや、困ったように肩を竦めて、「それでいい、健全だ」と呟いた。

「ライトを何処にやった…ここは何処だ?」

「ライト君は…学校に置いて行かれたんじゃないかな?ボクはキミ以外をココに誘った覚えはないから…」

 言いながら、二宮飛鳥はこちらに歩み寄ろうとしてきたので、光は目でそれを牽制した。能力者同士ならば既に戦闘距離。

「ボクはキミのような心を持つ人を求める…そのために余計な声は全て置き去りにさせてもらった」

 させてもらった。と主導権を握っているような物言いが鼻についたが、事実そうなのだから仕方がない。
 せめてペースに流されはすまいと心得、光は目を正面に据えたまま拳と唇をぎゅと締めた。


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