過去ログ - 穂乃果「嘘吐き」 -SS速報VIP

過去ログ - 穂乃果「嘘吐き」

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39:名無しNIPPER
2015/04/22(水) 20:34:18.95 ID:ENd+S0aV0
穂乃果がいなくなってからしばらく経った音楽室。

私はどうすればいいのかわからず、泣くことすらできずに、ただピアノを弾くこともなく椅子に腰をかけていた。

「最低よね、私」

その一言が虚しく音楽室に聞こえる。誰もいない音楽室。

ここなら誰もいないわよね、
そう思い私は本心を溢す

「穂乃果、本当はあなたのことが狂おしいほどに好き。でも、私には雪穂ちゃんがあるのよ。

「本当は雪穂ちゃんと別れてあなたと付き合いたい。だけど、自分が騙しておいてそれはないわよね。そんなことをしたら雪穂ちゃんも傷つくしね。」

そう言ってから私は自分の本心に気づいた。

「そっか、私自分が傷つきたくないだけなのね。」

穂乃果のことが好きでも、自分のことを優先に考える。
あくまでも自分が大切。
だから、涙も流れ落ちなかったのかもしれない。

そうおもむろに考えながら、なにかに引っ張られるように鍵盤に手を乗せる。

歌いはしなかったが弾いた曲は
『愛してるばんざーい』
彼女との出会いの曲だ。

私がピアノを弾いて、彼女が歌を歌う。私はただそんな時間が好きだったのに、彼女とただいるだけでも楽しかったのに、その曲を弾きながら私の脳裏にそんな声が聞こえる。

嘘偽りもない本心だ。
音楽の前ではやっぱり私は嘘をつくことができないのかと改めて思う。

とりとめなく心の中でいろんな思いが溢れてくる。その思いはだんだんと膨らんでいく。

抑えきれない感情を吐き出すかのように私の思いは言葉になって漏れ出していた。

気づけば私は1人で歌いだしていた。

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