過去ログ - まったく、小学生は最高だぜ!!  百合ver
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3: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/04/05(日) 11:03:47.89 ID:UROCsVvH0
次の日、マフラーを巻いて高校へ登校した。
家を出るときは、誰もいないのでおかしいとは思わなかったが、
外に出て街行く人を見ると、やっぱり春なのにこれはちょっと浮いてしまうと後悔した。

「さくら、おはよう」

名前を呼ばれて、私は振り返る。
涼しげな様子の友人が駆け寄ってきた。

「なんでマフラー?」

「まだちょっと寒いかなって」

「高校着く頃にはいらないと思うけど」

「そうだね」

着いたら、保健室で首にシップか何か貼ってもらおう。
寝違えたことにすれば騒がれることもないし。

「昨日彼氏泊まったんでしょ? 大丈夫だった?」

「あ、うん」

「この間、外で会った時めっちゃ怒られてたじゃんか」

「あれは、私がいけなかったの。道に迷って知らない男の人に声をかけちゃったから」

「それもあの男の被害妄想だったんでしょ。確かに、さくらはすごく良い香りするけどさ、それが原因でたまたま声かけた男に取られるなんてありえないでしょ」

友人が、親指を下にする。
少し古い。

「だめだよ、そんなこと言ったら。いい人だよ」

「どーだか」

「この話はまたお昼にしようよ。外は恥ずかしいから」

「シャイだね、ほんと」

だって。
どこで聞かれているか分からないから。
振り返ると、後ろにいるような気がして、
私は急に怖くなって友人の腕にすがり付くように、寄り添った。
女の子なら大丈夫。
でも、悪口を言って、彼が聞いてしまったら、
何をされるか分からない。
もう、私には想像さえつかない。

「どうしたの」

「ううん……」

橋の上に通りかかって、ふと小学生の一群が目に入った。
黄色い帽子をみな被る中、一人の女の子だけ真っ黒な頭髪が顕になっていた。
長い髪がふわりと浮かぶ。大きな瞳。少しつり上がっていて、気の強そうな印象だった。
他の幼い子ども達から少し離れて、川を眺めながら歩いている。
彼女と擦れ違った瞬間、甘い香りがした。
彼らから少し距離が開いたところで、友人が、

「あの子、めちゃ良い匂いする。てか、さくらの匂いとちょっと似てる」

「え」

振り返ったが、もう交差点の向こうへ消えていく所だった。



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