12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/05(日) 18:13:48.41 ID:lE2tgw5So
「えいっ」
不意に指先が頬へと押し付けられる。
廊下の向こうから戻ってきたことりだった。
「海未ちゃん、ほんとに大丈夫? ぼーっとしてたよ?」
目の前のことりがいう。
心配など本当は向こうの明るみに置いてきたような、無邪気におどけた声。
薄闇越しでも、
小首をかしげたことりの目が細められるのが分かる。
頬をつついた人差し指が、やさしく顔の輪郭をなぞっていく。
「えへへ。海未ちゃん、きれいな形してるね」
「どういう意味なんですか……」
頬から離そうと、ことりの指を手に取る。
暖かかった。
――海未ちゃん、やだよ。一人でいっちゃうの。
一瞬、くちづけのように顔を耳元まで寄せるとささやいた。
それからすぐに声が頭の中でぐるぐると反響し続ける。
洗面所のオレンジの照明にさらされた頃にまで、何度も、何度も。
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