過去ログ - 白菊ほたるの場合【R-18】
1- 20
4: ◆Freege5emM[saga]
2015/04/06(月) 22:38:35.04 ID:Busjx15yo

●05

某月某日

今日、プロデューサーさんと取材応対のために打ち合わせをしました。
いよいよアイドルとしてのデビューが近づいてきました。

でも、やっぱり私はまだまだです。
趣味を聞かれた時に、とっさに言葉が出ませんでした。
暇さえあればレッスンの復習をしてたので、人に趣味として言えるものがなかったのです。

言うに事欠いて、笑顔の練習、って言ったら、
プロデューサーさんを苦笑させてしまいました。
そういう無理な笑顔をさせてしまうのは辛いことです。でも、私にはよくあることです。

そんな時、どこからか茄子さんが歩いてきて、私の背中からぎゅっと腕を回されました。
近くで私たちの様子を伺っていた、なんて言いながら、
初めて会った時に一緒に笑顔の練習をした話をしてくださいました。

私は笑うどころではありませんでしたが、茄子さんが背中に立っていてくださると、
不思議と安心できました。あと、茄子さんにいくつか隠し芸を教えてもらえることになりました。

こんなにいいことが続くと、できすぎで怖いぐらいです。
そう感じてしまう自分が、ちょっと卑屈過ぎるかな、とも思います……。




●06

某月某日


今日、初めてオーディションを通過することができました。
これまでは会場にたどり着くので精一杯だったのに、すごい進歩です。
事務所のみんなも、家族も、喜んでくれました。

プロデューサーさんの次に結果を知らせたのは茄子さんでした。

そのオーディションに行く直前、緊張と不安で震えていた私を、
茄子さんがぎゅっと抱きしめてくれて、頭を撫でながら、大丈夫だから、って言ってくださいました。

だから茄子さんのおかげだと思います、って言ったら、
これからオーディションのたびにそうしてあげようか、なんて言われて、
また私はどぎまぎしてしまいました。



●07

某月某日

今日の仕事は、本当に緊張しきりでした。
なんと私が、茄子さんと同じ番組で並んで画面に映ることになったのです。

茄子さんは、私が駆け出しであたふたしている間に売れっ子となっていたのだから、
アイドルとしての格が段違いで恐れ多いぐらいです。
昼の情報番組なので、放映時には録画して家族に送ります。
白菊家の家宝になると思います。



茄子さんといっしょに仕事ができたのは、とても嬉しかったのですが、
私自身は、アイドルとしてまだまだだ、とも思わされました。

浅草の屋台でたこ焼きを試食する場面を撮っていたとき、
案の定私の分にはたこが入っていなくて、不幸だった頃を思い出して、
私は泣きそうになってしまいました。スタッフさんに何事か、と思われるところでした。

そこを、隣の茄子さんがつまようじでたこ焼きを一個分けてくれて、
『あ、ごめんね。アツアツだったね』と誤魔化して、私の涙目をフォローしてくださいました。

運がいいとか悪いとか、そういう問題じゃないんだな、と教えられました。
大事なのは、つまづきそうになったときに、どう転ばないでいられるかなんだって。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
25Res/37.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice