7: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:02:08.77 ID:L/XPeEV/0
ぎいぎいと、蝶番が悲鳴をあげながら開いていきます。
図書館のドアがこんなにうるさいのはいかがなものでしょうか――と思いますが、しかし実際、問題はなかったようです。
なぜならその部屋は、真っ暗だったからです。
他の利用者などいようはずもありません。
おそるおそる。足音を立てないように這入ります。
がたんと、背後で大きな音を立てて扉が閉まりました。
思わずぶるりと肩が震えます。
首筋から、血の気が引いていくのが聞こえるようでした。
濃密な闇に視覚を奪われたせいか、ほかの感覚が周囲の様子を察しようと働いているのでしょうか。
触覚がしきりに寒さを訴えます。
埃と、年を経た紙の匂いが鼻を突きます。
聴覚は静寂を通り越して、きーんとした耳鳴りのような音が聞こえています。
とにかく、明かりのスイッチを探さないと――。
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