21:名無しNIPPER[sage]
2015/04/11(土) 15:06:37.95 ID:LpvpQQI+0
春香はおれの方を向いた。
そのときの、彼女の表情はいままで見たことがないものだった。
口端は笑みを浮かべようとつり上がっているが、頬は真っ赤に紅潮して、目に涙が溜まっている。
「ごめんなさい。やっぱり、わたしじゃあ、だめみたいです」
彼女にはなにも、言えなかった。
扉の奥にいるはずの、千早を見たかった。
おまえは今、いったいなにを考えているんだ?
親友である春香にも返事すらしないなんて、この世界のプロデューサーはそんなにも、おまえをおかしくしてしまったのか。
自己嫌悪と怒りが、体の中に充満した。
おれは衝動的に、叫んだ。
「千早! 話がしたいんだ。開けてくれ」
おれはこんな乱暴な言い方をするつもりじゃなかった。
インターフォン越しで、励ますことすら考えていた。
でも、今の自分を抑えることなんて、できやしなかった。
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