22:名無しNIPPER[saga]
2015/04/11(土) 15:36:37.66 ID:LpvpQQI+0
部屋の奥から、足音が聞こえた。
一歩、一歩、たどたどしく、扉に近づいてくる。
そして、足音は扉のすぐ内側で止まった。
しばらくして、鍵が開く音がした。
すこし迷ったが、おれはゆっくりとドアノブを回して開いた。
すぐ、目の前に千早がいた。
両手をついて、座り込んでいた。
ぼさぼさで、あちらこちらに髪ははねていて、右手は何重にも包帯が巻かれていると直ぐ分かるほど太くなっており
表面には真紅のような赤と暗褐色の血がまだら模様に浮かんでいた。
でも、それでも、すぐに認識せざる負えなかった。
これは自分の知っている千早なんだと。
歌が好きで、不器用だけど、真面目な千早だと。
気が付くと、おれは泣いていた。
しゃっくりあげて、腕で涙をこすっていた。
いますぐ、頭を地につけて謝りたかった。
そして、おれは糞虫のように、孤独で、誰にも関わりたくない存在になるべきなのだと思った。
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