38:名無しNIPPER[sage saga]
2015/04/12(日) 21:23:14.34 ID:Mi5W6RuS0
布団の上で、おれは思わず握り拳をつくった。
『ありがとうございました』ってなんだ。
礼を言われるようなことはしていなかったはずだし、あの言い方はひどく不愉快だった。
こうなったら、引き留めてでもすべて話してもらう、そう決意し
慌ててスリッパを履き、点滴スタンドを片手に握りしめて、部屋を飛び出した。
だが、廊下には、人っ子一人歩いていなかった。
一瞬気後れしたが、慌ててエレベーターのある方向へ駆けだしていく。
見ると、2台のエレベーターのうち一方が一階に着いている。
そして、もう一方が、ちょうどこの階へ到着するようだ。
はやく、はやく、来い。
意味もなく昇降ボタンを連打する。
チーンッと到着したことを教えるチャイムが鳴った。
急いでいたおれはエレベーターの中へ飛び込もうとして、勢いよく中にいた人と、ぶつかった。
相手方は立ち止まっていたようで、勢いよく尻餅をついた。
慌てて、声を掛けようとして、瞠目した。
容貌はついさっきまで会っていた春香のものだが、着用している洋服の種類が異なっている。
彼女もおれに気づくと、すっと目線を床に逸らした。
おれはすかさず、彼女の手をぎゅっと強く握りしめた。
頭の中で、自分の直感が叫んでいた、彼女こそが事件の鍵であると。
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