20:名無しNIPPER[saga]
2015/04/15(水) 20:39:50.97 ID:OqDbl4b1O
【風】
けんじゃ「…………」
けんじゃ「ういんど」
勇者「およ?」
突如、賢者は風の魔法を唱えた。街角を気流が駆ける。
勇者「どうしたの?」
けんじゃ「かぜが、ほしいの」
確かに、この町の構造は風が抜けにくいようになっている。けれど彼女の事だし、そういう意味でもなさそうだ。
けんじゃ「ここには、るてんや、じゅんかんでは さらない、よどみがある」
言うとおり、今のこの国にはどことないおかしさ、歪なものを感じなくもない。
けんじゃ「かぜは、いつかふく。それは、おおきくなる。でもちいさなかぜは、だれかがおこさないといけない」
パサッ……
市民「おや、これは」
富豪「あっ、帽子……」
市民「落としたよ」
富豪「……もう汚いから、いいわ」
市民「ダメだよ、ちゃんと落ちるんだから。こういう刺繍は……ほら、こうやって布の端で」
賢者の言葉が、吹き溜まりの葉を散らすようだ。僕は、誰かの心に新たな風を送る事が出来ているだろうか?
富豪「良かったの? あなたのシャツ……」
市民「もう汚いから、いいのさ」
けんじゃ「こころのよどみに、はためき」ニコニコ
勇者「はためき? ……」
僕の掲げる旗がしおれないのは、彼女のお陰かもしれない。
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