過去ログ - 生真面目勇者とふわふわけんじゃ
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33:名無しNIPPER[saga]
2015/04/20(月) 17:29:12.71 ID:c/cYx8lHO

魔王「報告によると、お前たちは無為に同胞を殺さなかったと共に……時に。人間も戒めていたという」

魔王「並大抵の事では無かったろう?」

勇者「……ままならなかったし、悔いる事も多かった。正直、僕がやった事じゃないよ。賢者がいたから収まったんだ」





魔王「大した間男だ」

僕がひとしきり喋った後、魔王はそんな事を言い、緊張を解いてくれた。

魔王「人と魔物、その間で不和の責を取らんと顔をしかめる男。まさしく間男のようだ、ははは」

勇者「う、うん」

あまり嬉しくない……。



魔王「では、次だ。お前たちは、私を悪と思うか?」



勇者「うーん……今話してみた感じだと、別に」

あまり迷う事もない。魔王が期待する答えも何となく分かるけど、それ以前に僕の本心だ。

魔王「では、善人だと?」

勇者「善人ってのは別だよ。勇者として動くようになって分かったんだけど、善悪って見る人の立場で変わるし」

魔王「……」

勇者「善悪というより、良い悪いってくらいかな。立場に関わらずやっちゃいけない事は良くないかな。嬲る事、弄ぶ事とか」

魔王「私の手は、血に染まっているぞ」

勇者「そんなの僕もだよ。肉だって美味しく食べるし、危ない時は剣を抜く。生きてるんだもの、仕方ないさ」
勇者「とりあえず、僕はそんなに悪い人じゃないと思ったな」

魔王「ふむ……」

今にして思えば、賢者は一言も喋っていない。僕もそれなりに思うところはあるし、賢者にばかり任せるのも良くないし。

魔王は、とりあえず納得したようにうなづいた。


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