過去ログ - 生真面目勇者とふわふわけんじゃ
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37:名無しNIPPER[saga]
2015/04/21(火) 13:50:28.59 ID:PuX6TKv3O

けんじゃ「うん」


言うが早いか、賢者は腰をぺたんと下ろしてしまった。

けんじゃ「おちゃ、ある?」

勇者「う、うん」

けんじゃ「すわって、すわって」ニコニコ

まるでピクニックでもするように平座りを促す。座ってみれば見晴らしも良く、程よい風も吹く良い場所だった。
種族が違えど、全員同じように体育座りをするのが、なんだか微笑ましい。

勇者「はい、お茶」


けんじゃ「ふぁいやー」ボワー


魔王「茶は温めるのが普通なのか?」

勇者「僕たちはそうやって飲むね」

魔法で水筒を温める。仰々しい城の屋上でも、見知った光景のように錯覚しそうだ。

けんじゃ「んー」トクトクトク

持ち歩いているコップに、湯気の立ち上る緑茶が注がれていく。

けんじゃ「どうぞー」

勇者「ありがとう」

魔王「うむ……」



けんじゃ「あつつ……」
勇者「こく、こく」
魔王「……。ぐいっ」



一刻あと、気持ちの良いため息が、三者から漏れた。


魔王「渋いな。冷たければ飲みにくいだろうが……温めると、これも悪くない」

勇者「うん」

勇者「緑茶は初めて?」

魔王「緑茶というのか。茶と言えば、冷たい紅茶しか飲まなかったからな」

勇者「へぇ……んく、んく。足伸ばしても良い?」

魔王「ああ、構わんぞ」

けんじゃ「のびー」


そんなに量を注いだわけでもないので、すぐに器が空いた。
僕も賢者と同じように大の字になる。
魔王もおずおずと続き、がしゃんと甲冑を横たえた。

お腹がまだ温かい。

けんじゃ「たいらかな、なごみ」



けんじゃ「それが、へいわ」

勇者「…………」
魔王「…………」

平らかな和み……。
それは単なる言葉遊びというよりも、平和という言葉の根源に迫った考え方だと思う。

平らかな和み。

そうか。それが、僕らの答えなのか。
しっくりときて、すっきりとした。


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