過去ログ - 生真面目勇者とふわふわけんじゃ
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42:名無しNIPPER[saga]
2015/04/21(火) 17:48:57.92 ID:PuX6TKv3O

【闇夜】


ホー……ホー……

けんじゃ「ふくろうさん……」

勇者「ちょうど起きたのかな?」




熱を冷ます為に夜風に吹かれる。
真っ暗な中で瞳を閉じれば、左腕を温かく抱く賢者が居た。

……あの後、魔王との戦いは長く続いた。


打ち、払い、突き飛ばす。
蹴られ、躱され、跳ね返される。
そのようなやり取りを何度も続けた。持てる身のこなし、剣技、体術、すべてを尽くした。

勇者『はぁ、はぁ、っ』
魔王『ふうっ、くっ、ふ』

勇者『一切の血肉、激情に弾けよ! 数多なる暴力をもって、生命の色を奉らん! 赤祭・怒天!!』
魔王『我、魔物の王者なり! その名に偽りは無し……当然ひれ伏せ! 魔紅大散華!!』

勇者『がっ、は!』
魔王『ぐぬっ、あぁ!』


それは魔王も同じだったのであろう。僕がもうこれ以上ネタはないと思った時に、同じくして動きを止めたからだ。

魔王『勇者よ、お前の務め、果たされてやろう……!』

勇者『魔王っ、まだ決着は』

魔王『そうだ、私は貪欲だ! この力比べに、白黒を付けたくて仕方がない! 楽しくて仕方がない!!』

勇者『ああ……!』

魔王『一番、得意な技で来い! 打ち合おうぞ!!』ガシャン

勇者『一番、得意な技……分かった!!』タッタッタ



勇者『先々の先に先駆ける! 鞘打!!』シュバッ!
魔王『我、魔物の王者な……なにっ!?』


バシーン!!!


魔王『ぶっ!!』鼻ツーン

勇者『あ、ごめん……強すぎたかも』

魔王『ふっ、ふふ。痛いな……』ポロポロ

勇者『わ、涙が! ごめん!』


魔王『よい。その瞬速の鞘打ちが一番得意だったのだろう……?』

魔王『まるで、聞かん坊を戒めるような一閃だ。この技で何度も、口で利かぬ間違いを正してきたのだろう』

魔王『まさしく、勇者!! 天晴れだ!!』ズシン

魔王をたおした!


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