11:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:03:15.68 ID:gC6OIYV/0
曙は隣からこちらをじっと見つめる視線に気づいた。
「いやー。あんたがそういう格好してるの初めて見たけど、曙ってやっぱりかわいいわよねー」
感心したように陽炎が言う。
12:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:03:45.23 ID:gC6OIYV/0
「…なによそれ。ばっかじゃなの」
どうしてこの駆逐艦はそういうことを平気な顔して言えるのだろうか。曙は熱をもって赤く染まったほほを気付かれないようにとそっぽを向く。
13:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:04:17.44 ID:gC6OIYV/0
「あたしたちは艦娘なのよ。普通の女の子みたいに、そんなこと気にしてる暇なんかないわ」
普通の女の子。自分が言った言葉が心に刺さるのを感じた。薄い装甲で、死の気配を絶えず背中に感じながら深海棲艦と戦うのが曙たち駆逐艦の役目なのだ。硝煙の匂いこそが日常であり、こうして二人並んで買い物に行く…何てことが非日常なのである。
14:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:04:49.62 ID:gC6OIYV/0
「そうかなー?私たちだって艦娘である以前に女の子よ?女の子らしいことしたっていいじゃない」
なら…曙はのど元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
艦娘だって、恋をしていいのかしら。
15:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:05:21.13 ID:gC6OIYV/0
ショッピングモールにつくと、陽炎たっての希望で服屋にむかった。
「本当にここはいるわけ?」
甘め、というのだろうか。店内はフリルの付いた服、ピンクや赤のかわいらしいファンシーな服でいっぱいである。
16:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:05:50.31 ID:gC6OIYV/0
「あんたに似合うと思うの!」
抗議の言葉を、曙は陽炎の手の温かい温度に遮られた。ドキッととしながらも、ほんのちょっと、気付かれないギリギリまで力を入れて握り返し、曙は陽炎に引っ張られ店内へと入っていく。
17:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:06:16.85 ID:gC6OIYV/0
疲れた…買い物がここまで疲れるものだとは知らなかった。何十着と陽炎に着せ替え人形のように扱われ、最後には普段のように悪態をつく元気もなくなっていた。
反対に、陽炎はどこかつやつやとしている。
18:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:06:45.77 ID:gC6OIYV/0
「いやーいい買い物ができたわねー」
大きな袋をもってご満悦である。
「そういえばあんたあたしに試着させた以外にも何着かかってたわよね。それ自分の分?」
19:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:07:15.34 ID:gC6OIYV/0
「ほんっと仲が良くてよろしいことね」
「14駆逐隊の皆が仲間なら、あの子は家族みたいなもんだから」
仲間と、家族か…で、あんたはどっちが大事なの?
20:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:07:45.63 ID:gC6OIYV/0
そのあとも楽しい時間を過ごした。感動系の映画で思わず泣いてしまったことを陽炎にからかわれたり、ペットショップで犬や猫を見て癒された。
21:名無しNIPPER
2015/04/11(土) 22:08:15.91 ID:gC6OIYV/0
駅を降り、鎮守府へ戻るときも曙は上機嫌だった。緊張はしたけれど、陽炎と一日過ごせてとてもうれしかった。きっと、陽炎だってそう思ってくれているはずだ。
「ね、ねえ」
「ん?なーに曙?」
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