174:名無しNIPPER
2015/04/17(金) 23:43:27.44 ID:VouUcVWhO
捲し立てるように、私はそう言った。
あの頃と変わらない、変わることができなかった素直な私の気持ちを、にこちゃんにぶつけた。
『…………』
真姫「っ……だからっ!」
だから。
その後の言葉が続かない。
そんなにこちゃんは見たくない。
見てられない。
もし、これからにこちゃんのキラキラが消えていってしまうのなら。
そんな風になっちゃうなら――。
アイドルをやめて。
そう言おうとしたのに、私の口は言うことを聞いてくれなくて、固まってしまう。
そんなことを言う資格が私にあるの?
迷いはまだ私の中でぐるぐると渦巻いている。
それが私の言葉を邪魔している。
真姫「…………だ、だからっ」
迷ったまま、私は無理矢理言葉を紡ぐ。
けれど、それは、
『……やめて、よ』
にこちゃんの声に遮られてしまった。
その声はとても小さなもので。
『お願いだから……やめてよっ』
『にこは、ただみんなを笑顔にしたいだけなの……』
『ずっと叶えたかった夢なのよっ』
『アイドルをやって、みんなを笑顔にして、幸せにっ――』
私はそれ以上なにも言うことができなかった。
それから、電話の向こうから聞こえてくるのは彼女の泣く声だけだったから。
あぁ、やっぱり。
私にはその資格がないのね。
恋人じゃなくても、友達だとしても。
『真姫ちゃんには、関係ないでしょ』
『にこの夢を邪魔しないで』
電話を切る間際。
にこちゃんが言ったその温度のない言葉に何も言い返せなかった私には。
にこちゃんの夢を邪魔する資格なんて、ない。
――――――
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