89: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/04/18(土) 11:11:48.04 ID:tyHAVLhO0
師匠のことは聞かない。きっと帰ってこないことは変わりないだろうから。
だけど死神さん――もう1人、私が待っていた人は来てくれた。
青年「何か腹減ったなー。なぁ、何か作ってくれない?」
見習い「えぇ、構いませんよ」
私は急いで台所に向かう。
その時気付いた。死神さんに私の料理を振舞うのは、これが初めてかもしれない。
見習い「師匠の料理より味が落ちるかもしれませんが」
青年「そんなことないって」
死神さんはすぐに首を横に振った。
青年「俺、見習いちゃんの料理好きだよ…何か、そんな気がする」
見習い「…何だか私も、そんな気がします」
青年「人間になりたてで行く所もないし、しばらく世話になっていいか?」
見習い「えぇ、いいですよ」
どうしてだろう。私はとても長いこと、こうなる日を待っていたような気がする。
どうして――でもいいか、これからも死神さんが一緒にいてくれるなら。
見習い「何がいいですか?」
青年「そうだなー…」
空に流れた星は、昼間のせいか誰の目にもとまらなかった。
だけど500年前に交わした約束を見守るように、ひっそりと輝きを放っていた。
『いつかまた、お前に会いに来るから――』
Fin
98Res/68.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。