16: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 16:25:01.05 ID:dpPJnMuC0
「どうして、こんなことを?」
私は訊ねた。彼の顔を見上げて、彼の顔を見て、訊ねた。
「どうして、と言われましても、私は彼に挨拶を、と思っただけで……」
彼は私から視線を逸らして言う。明らかに嘘だ。思ったよりも嘘が下手な人らしい。
「挨拶なら、私の後でもできたはずです。……あと、敬語で話されると、なんだか、変な感じです。だから、普通に話して下さい」
私が言うと、彼は困ったような顔をした。これ以上は長引かせるだけだと判断したのだろう、彼はあきらめたように息を吐いて言った。
「……見ていられなかった、じゃ、ダメか?」
「あなたには大切なアイドルが居るでしょう。彼女たちのことを考えられないあなたじゃないはずです」
「……考えた上で、それでも、見ていられなかったんだ」
「どうして、ですか?」
「それは――」
と彼が口を開いた瞬間、
「泰葉ちゃーん! い、いなくなっちゃってごめんなさい」
と、私のマネージャーさんが来た。
「って、あなたは、アイドル部門の……。その、すみません。時間が、なくて」
「え、ええ」
「じゃあ、泰葉ちゃん、行きましょう」
「は、はい」
そうして私は彼女に連れられて帰ることになった。
……マネージャーさん、ちょっと、タイミング悪いです。
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