64: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 18:53:02.85 ID:dpPJnMuC0
この数ヶ月間、私はずっと彼と居た。『ずっと』と言うのは語弊があるし、実際にいちばん長く一緒に居たのはトレーナーさんか同じレッスンを受けてきたアイドルたちかもしれないけれど、それでも、私からすれば、私はずっと彼と居たのだ。
最初の一ヶ月。仕事はほとんどなく、(正確にはプロデューサーが『受けなかった』のだろうが)、レッスン漬けの毎日だった。
プロデューサーにはプロデューサーの仕事があったし、いつもレッスンを見てくれるということはなかったけれど、それでも、レッスン中、私はいつも彼の視線を感じていた。
65: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 18:53:35.06 ID:dpPJnMuC0
そして、今。
私は、ライブ会場に居る。
66: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 18:54:22.50 ID:dpPJnMuC0
――成功、するだろうか。
そんなことを考える。自信がないわけではない。……いや、自信がないのだろう。どれだけの努力を積んでも、どれだけのレッスンをしてきても、疑念が消えない。自分を信じることができない。
67: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 18:55:21.77 ID:dpPJnMuC0
「泰葉」
はっと顔を上げる。目の前にプロデューサーの顔がある。
68: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 18:55:53.15 ID:dpPJnMuC0
「見ていて下さい、プロデューサー」
私は言う。
プロデューサーに。
69: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 18:57:04.98 ID:dpPJnMuC0
16
70: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 18:59:21.59 ID:dpPJnMuC0
17
71: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 18:59:59.60 ID:dpPJnMuC0
その瞬間。
私は目を開く。
目を開き、前を向いて、ファンを見て、歌い始める。
72: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 19:00:38.29 ID:dpPJnMuC0
――これが、これが……!
私は、歌う。
精一杯、声を、張り上げて。
73: ◆XmxU5oRmnc
2015/04/16(木) 19:02:27.23 ID:dpPJnMuC0
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