過去ログ - 女「男君を愛するあまり、>>2の能力を手に入れた」
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887:名無しNIPPER[saga]
2015/05/14(木) 23:48:38.16 ID:6b0X/yXb0
お互いに動きを牽制しあいながら、じりじりと間合いを詰めていく

演劇部部長は左手で友の体に触れる事を狙い、友はその左手で何かされないよう左腕を掴む事を狙っていた

この時、両者には逃げるという選択肢が頭の中に入ってはおらず、共に決着をつける気で溢れていた

演劇部部長が半歩すり足で進み、友は次の攻撃に備えて右足を一歩分引いて半身の構えをとった

演劇部部長は先制攻撃による一撃で勝敗を決定付けようとし、友は後の先を取ってカウンターで終わらせようとしている

再び、間合いを測るように演劇部部長が半歩、足を進めた

その時だった

「ぅぐっっ!!」

突如、横にくの字形に曲がる演劇部部長。苦悶の顔と共に疑問符を何もない真横の空間に浮かべた

何もない。誰もいない。だけど、衝撃は確かに横から来た。何で……!?

演劇部部長がそれを理解する前に、彼女の髪が下へと強く引っ張られた。先程、脇腹に受けたダメージも相まって抵抗は不可能だった。演劇部部長はその場に転ぶように倒れ、床に頭を押し込むぐらいの強引さで押さえつけられた


事情を知っていた友が一瞬先に理解した。風紀委員だ! 透明になったまま近付いて、完全に無防備な横腹にしたたかに膝蹴りでも食らわしたのだろう

その事には無論、演劇部部長もこの時には流石に気付いていた。友は囮であり、本命はこっちの風紀委員だという事に

友が氷漬けから自力で出てきた時、その透明化を一緒に解除したのは、目立たないが風紀委員のファインプレーだった。これで、演劇部部長の注意は見える友の方に移り、室内にもう一人透明な人間がいるとは考えさせなかったのだから

結果として、演劇部部長は床に叩きつけられ、左手を後ろに回されて取り押さえられる事となった。その上にのしかかって、姿を現した風紀委員が勝ち誇った様に演劇部部長に告げた


「見えないものを見ようとしなかったのが、あなたの敗因よ。望遠鏡でものぞきこんでたの?」


友がほっとしたように大きく息を吐き出した後、思いついた様にこう風紀委員に言った


「わかってるとは思うけど、そのままな。勢いで首とか絞めるなよ。亡くなった彼女の妹が殺人犯とか嫌だからな、俺は」


それがどちらを心配しての言葉だったかは不分明だが、良くも悪くも、それが友の性格だった


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