15:名無しNIPPER[saga]
2015/04/21(火) 21:39:39.35 ID:wUkTsMkL0
「……本当に一か月間ずっと中華鍋振ってたんですか?」
チャーハンが更地になった頃、志保が少し驚いたような声色で言いました。
「うーん、わりとそうだったね。素振りとかもしたよ」
「……中華鍋で?」
「うん。中華鍋で。高いものだから緊張感もあるしね」
「高いんですか? 中華鍋って」
「たぶん」
かわめスープを空にしてプロデューサーが答えました。
「高いものなんて、何がいいんでしょうか」
「うーん、気分がいいんじゃないかな」
「別に、高い万年筆も安いボールペンでも、出来る事は変わらないと思うんですけど」
プロデューサーがレンゲを置きます。空になったカップが小さな音を立てました。
「志保はしっかりしてるね。でも、気分がいいと仕事のスピードも上がるから、きっと値段相応の価値はあるんだよ」
腕を組んでうんうんとプロデューサーは一人頷きます。
少し呆れて志保は下を向きます。
そして思い出したようにスマホの画面を確認して時間を見ます。
事務所に来てから十五分が経っていました。
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