過去ログ - やはりわたしの青春ラブコメはまちがっている。
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984: ◆B2XDpDu6mk
2015/07/03(金) 20:02:13.90 ID:ZEQT3Wk20
一応証拠として、まだ公開してない部分載せときます



「まあ、結衣先輩の優しさは、それがあっても余りありますけどね」
「まあな。あんなやつがどうして俺なんかのことをって思うわ。道を踏みまちがえてる気がしてならない」
「ですね〜」
「否定しろよ」

 なんでこんな人を、と思ったことなんて数えきれない。
 けど、多分、もう理屈じゃない。
 どこが好きかと訊かれれば答えられはするけれど、そういうことじゃないのだ。

「どこを好きになったんだろうなーって思うとき、本当よくあるんですよね」

 けたけたと笑いながらそう言うと、先輩は苦い顔を浮かべて嘆息する。

「お前、ちょっとは遠慮しろよ」
「嫌ですよ、先輩に遠慮なんて。先輩のいいところ、結構知ってますけどね」
「言ってもいいんだぞ」
「調子に乗られると困るので遠慮しときます」
「なんでそこだけ遠慮すんだよ。ほんっと、かわいくねぇなぁお前……」
「しょうがないですね、かわいくしようとも思ってないですし。だいたい、そういうことじゃないんですよねー」

 わたしの言葉に、先輩ははてなマークを頭上に浮かべて首を捻る。

「理論とか論理とかって話じゃないってことですよ。ここがこうだからこうだ、とか、説明できるものじゃないんです」
「はぁ、なんか面倒くさそうだな」
「いえ、案外単純ですよー? ただ――」

 どこが好きだとか、そんなことを考えるよりよっぽど簡単だろう。
 曖昧な返事をしつつ、ハヤシライスを口に運ぶ先輩に、にっこりと笑みを向けて答えた。


「好きだから、好きなんです」


 言い切った瞬間、先輩の目は見開かれ、店内にけほけほと咽せる音が響いた。
 しばらくすると、落ち着いたのか、僅かに涙を浮かべて、恨みがましい瞳で睨めつけてくる。
 そんな視線を軽く流して、わたしは再び口を開いた。

「ね? 簡単でしょう? だーい好きですよっ? せーんぱいっ」
「声上擦ってんぞ」
「ふぅ、わたしもまだまだですね。今の超恥ずかしかったです」

 おそらく上気しているだろう頬が熱い。
 視線をそらしてぱたぱたと顔を仰ぐ。

「なら、やんじゃねぇよ……こっちが恥ずかしいわ」

 横目でちらと先輩を窺えば、そっぽを向いていた。
 その横顔が僅かに赤らんでいるのを見て、わたしは満足気な笑みをこぼしてしまうのだった。






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