過去ログ - 響「・・・強くなりたい」 響鬼「よろしくっ、シュッ!」
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27: ◆li7/Wegg1c[saga]
2015/04/28(火) 21:44:24.44 ID:h8cyi6Gr0


戦いが終わり、夕暮れが近づいてきた。艦娘達は明日夢の車で海まで送ってもらうことになった。

「じゃあな、俺と同じ名前の少女。響」

ヒビキは再び響の頭を優しく撫でた。

「じゃあねアカネタカちゃん。またどこかで会おうね・・・!」

名残惜しそうに瑞鳳は小さな茜色の鷹を撫でた。航空機マニアの彼女にとって、アカネタカには惹かれるものがあったのだろう。

帰り際に一匹譲ってもらえないかと頼むほどであった。勿論断られてしまい、かなり落胆していた。

一方、ヒビキの後ろで京介はバツが悪そうにそっぽを向いていた。ふと、彼の方を向いた響と目線が合うが、どこかへ目線を逸らしてしまう。

そんな不肖の弟子をヒビキが見逃すはずもなかった。

彼は強く背中を叩き、
「ほれ京介。最後にちゃんと師匠の務めを果たせ」と促す。

渋々京介は小さな銀髪の少女に目を合わせ、恥ずかしそうに言った。

「さ、さっきは言いすぎたよ。悪かったな・・・」

京介もまた弟子から学んでいた。

人にしっかりと気持ちを伝える術を。人の心を無闇に傷つけぬ術を。

弟子に教えられ、師匠もまた成長する。

「いえ。こちらこそ、大切なことを教えていただきました・・・」

響は師に対して頭を下げた。彼女なりの、京介の心遣いに対する礼だった。彼女にとっても、京介は師匠であり続けるだろう。

不器用でわかりづらい教え方だったが、本当の強さの意味を教えてくれた師匠として。

「じゃあな、お嬢さん達。鍛え続けろよ、明日を生きるためにな」

「ちゃんと俺の作った椎茸食べろよ」

銀髪の少女の小さな頭を撫で、京介は静かに去って行った。

「スパスィーバ・・・」

去り際、小さな声で響は呟いた。ロシア語で「ありがとう」を指す言葉。その言葉の意味は分からずとも、ヒビキと京介にその想いは届いた。

赤い夕日を背に染められながら、ふたりの鬼は去りゆく艦娘達にいつまでも手を振り続けていた。




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