過去ログ - モバP「知らない誰か」
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11:名無しNIPPER[saga]
2015/05/04(月) 00:24:25.84 ID:SnUXL8Vr0
  『C君』


 塾だから、そう言って最後の一人が帰った。

 俺はなんとなくひとりになりたくて居残り、ほとんど氷と水だけになったコーラのストローをかじっていた。


 未央のいる時間が減ると、各々が別のグループに関わり始めた。

 リア充グループなんて言われていい気になっていたのも今は昔。

 あれだけうまく回っていた人間関係が、引っ張る人間がいないとなんだかギクシャクして、それぞれ自然と足が遠のいた感じだった。

 未央も未央で、出来るだけ俺たちと付き合えるよう努力している様子は、痛いほど伝わってくる。

 そうしてたまに顔出しするときは、決まって皆が集まってくる。

 結局これは、未央がいてはじめて機能する集団だったんだと思い知らされた。

 薄々気づいてはいた。輪の中心にいるのは未央で、自分ではないと。

 もちろん現実を見せつけられたのは、中々に堪えた。だがそれ以上に、俺は未央に戻ってきてほしかった。

 なかよしグループ復活のため? いいや、他のやつらと同じで、それは俺にとっても重要なことじゃなくなっていた。


 着信で現実に引き戻される。夕方過ぎの寂しい店内で、俺はもたもたとロックを外す――未央だった。

 アップされたその写真には、現在進行形でいくつもコメントがついていく。

 他のアイドルと同じシーンに収まった未央は、俺たちと居た時と変わらない表情で、だからこそ腹が立った。

 いっそ失敗すればいいのにと思った。失敗すればまた――

 ――その辺りで、自分がイヤになる。最近はその繰り返しだった。 

 結局、気の利いたつもりのコメントをつけた。

 本当に言いたいことは何一つ言えないまま。


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