1:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 22:47:13.03 ID:0VoJ+QeLO
坊ちゃん「……遅い。まだですかねぇ」
坊ちゃん「一体買い物にどれくらいの時間をかけているのでしょうか」
坊ちゃん「まったく。これはまた帰ったら説教が必要かもしれませんね」
坊ちゃん「献身的に働いてくれるのはありがたいのですし……」
坊ちゃん「従順で素直で優しくて真面目なのは嬉しいのですが、まるで役にたたない」
坊ちゃん「メイドさん……」
ガチャ
メイド「ただいま帰りました」
坊ちゃん「遅いですよメイドさん！」
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2:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 22:52:19.51 ID:0VoJ+QeLO
坊ちゃん「あなたは買い物程度に何時間かけているのですか？」
メイド「？ 申し訳ございません」
坊ちゃん「使用人としてもっと時間を管理してください」
3:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 22:57:24.67 ID:0VoJ+QeLO
坊ちゃん「……どうぞ続けて」
メイド「買ってきてほしいと頼まれた品物、近くでは到底見つかるものではありません。これくらいかかるのは妥当かと」
坊ちゃん「何を言いますか。僕が頼んだものは二つ。どちらもすぐそこで手に入るものではありませんか」
4:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:00:08.47 ID:0VoJ+QeLO
メイド「海はここから遠く離れたところにあります」
坊っちゃん「ですから？」
メイド「……このあたりで海の幸が手に入るわけないではありませんか」
5:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:05:25.27 ID:0VoJ+QeLO
メイド「ですから、山奥に立てられた立地条件の悪いこの洋館から海の幸を仕入れるには手間がかかると言っているのです」
坊っちゃん「すみませんがメイドさん。あなた何を買ってきましたか？」
メイド「はい。命じられた通りこちらの……」
6:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:09:41.59 ID:0VoJ+QeLO
坊ちゃん「……まさかここまで出来が悪いとは」
メイド「それとこちらの切手200枚です」
切手「どさ」
7:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:11:31.03 ID:0VoJ+QeLO
メイド「坊ちゃんが頼まれたのは……」
坊ちゃん「手紙」
メイド「私が買ってきたのは……」
8:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:14:26.80 ID:0VoJ+QeLO
坊ちゃん「さらにこちらの切手。何ですかこの量……。僕は50円切手を200円分と言いましたけど」
メイド「そちらに関しては私に一切の責任がございます」
坊ちゃん「そちらに関しては？」
9:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:19:21.72 ID:0VoJ+QeLO
メイド「計算が難しく、どう転んでも良いように200枚ほど買って参りました。もちろん、余分なものは私の自腹でございます」
坊ちゃん「あたりまえです」
メイド「ご理解いただけたでしょうか」
10:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:24:46.07 ID:0VoJ+QeLO
坊ちゃん「僕がお願いしたもの……何一つこなせていませんね。大丈夫ですか？」
メイド「はい。ご心配なさらず」
坊ちゃん「……」ﾑｯ
11:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:27:32.29 ID:0VoJ+QeLO
メイド「ふざけてなどいません」
坊ちゃん「これは仕事なのですよ！」
メイド「承知しております」
12:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:31:18.78 ID:0VoJ+QeLO
メイド「……坊ちゃん」
坊ちゃん「！ あ、いや。今のは……」
メイド「私が解雇……そういうわけですか」
13:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:37:11.09 ID:0VoJ+QeLO
メイド「申し訳ございませんでした。ご迷惑ばかりおかけして」
坊ちゃん「え……本気ではないですよね？」
メイド「……坊ちゃん」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ
14:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:44:33.45 ID:0VoJ+QeLO
坊ちゃん「待ってくださいメイドさん！ まだです！」
メイド「……」
坊ちゃん「ごめんなさい。先ほどのは冗談です。なかったことにしてください！」
15:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:49:41.45 ID:0VoJ+QeLO
メイド「ですから。私にっ！ ……情けをかけるのはお止めくださいませ……うぅ」
坊ちゃん「……情けなどではありません。私にはメイドさんが必要です」
メイド「！ そんなぁ……。私が必要……？ 私、必要とされているのですか？」
16:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:52:44.62 ID:0VoJ+QeLO
メイド「坊ちゃんのお母様のことも。私がついていながら守れなかった……」
メイド「私がいていいはずがないのです。坊ちゃんは将来を期待されています。私のような野蛮で汚らわしい過去を持つ女などと……」
17:名無しNIPPER
2015/05/03(日) 23:56:19.03 ID:0VoJ+QeLO
坊ちゃん「メイドさん。……あなたが顔色一つ変えないで職務に没頭しているのは」
メイド「……//」
18:名無しNIPPER
2015/05/04(月) 00:04:03.96 ID:b3BSb3U5O
坊ちゃん「あなたは不器用な性格です。昔から頭が悪い癖に遠回りでひねくれた愛の伝え方しかできない」
メイド「……」
坊ちゃん「メイドさんは自分が何事にも動じないことで、いつでも僕に安心感を与えようとしているのではありませんか？」
19:名無しNIPPER
2015/05/04(月) 00:07:18.52 ID:b3BSb3U5O
坊ちゃん「昔は昔です。忘れてください」
メイド「……坊ちゃん。ありがとう」
坊ちゃん「……メイドさん」
20:名無しNIPPER
2015/05/04(月) 00:10:18.87 ID:b3BSb3U5O
メイド「そ、そんなぁ……//」
坊ちゃん「嫌ですか？」
メイド「嫌だなんてぇ……そんなことありませんわ//」ﾃﾚｯ
21:名無しNIPPER
2015/05/04(月) 00:15:48.52 ID:b3BSb3U5O
坊ちゃん「それで。結婚の方は？」
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