過去ログ - ジナコ「イリヤ?誰ッスか」白野「月編」桜「3スレ目です」
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640: ◆/5mzbmBbN2[saga]
2015/05/06(水) 22:21:34.05 ID:30aT8js00
誰もいないはずの教室から現れたのは、あの赤い服の少女だった。

???「……遠坂凛か」

凛「あら、私の事はご存知なのね。さすが世界に誇る、ハーウェイ財団の情報網」

凛「それにしても、私の名前がそこまで知れ渡っているなんて思わなかったわ」

凛「ねぇ、叛乱分子対策の大本、ユリウス・ベルキスク・ハーウェイさん?」

ユリウスと呼ばれた男は、薄い唇を歪めてかすかに笑う。

ユリウス「……敵を援けるとは、随分と気が多いな。この男を味方にでも引き入れるつもりか?」

凛「まさか。そいつはわたしの仕事とは無関係よ、殺したいなら勝手にしたら?」

ユリウス「……魔術師め。その隙に後ろから刺されるのではたまらんな」

唇の端に皮肉な笑みを浮かべたまま、男はゆっくりと廊下の壁に向かって歩を進めた。

凍てつく視線が、こちらに向けられる。

ユリウス「確か……岸波、と言ったな。 覚えておこう」

殺意のこもった瞳を向けたまま、ユリウスは壁の中に消えていった。

凛「壁の中に消えた……あれがあの男の魔術かしら?」

凛「この手の反則を平気でやってくるとなると、校内でも気を抜いていられないわね」

男の気配が消えると同時に、少女は独り言のようにつぶやいてこちらを振り返った。

凛「……なによ、その目は。別に助ける気で出てきた訳じゃないわ。ハーウェイの殺し屋に挨拶したかっただけ」

凛「貴方も私にとってはただの敵。どこで死のうが知ったこっちゃないわ」

凛「……ま、二回戦を勝ち抜いた実力派認めてあげる。伊達にアーチャーのマスターを務めてはいないわね」

凛「貴方とはほら、あの時いきなりランサーをけしかけた侘びというか、なんというか……」

凛「って、なに言ってるんだろ私。 それじゃあね」

凛「せっかく拾った命、次の三回戦までなくさないよう、気をつけなさい」

少女は小さく笑うと、早足でその場を去った。



その後、掲示板で対戦相手を確認する。

掲示板には、いつもと同じように2つの名前。

自分ではないもうひとりの人物の名は……



マスター:ありす



ありす「……こんどの遊びあいてはお兄ちゃんなんだ」

二回戦の相手から一気に年齢が下がり、おそらく10に満たない少女だった。

ありす「お兄ちゃん、あたしの事覚えてる?」

ありす「もしかすると、気付いてもいなかったかな? あたしはただ、見つめてるだけだったから……」

ありす「あたし、お兄ちゃんならお友達になってくれそうな気がしてたの。やっとあたしも、お友達が出来るって」

ありす「だからお兄ちゃんが行っちゃった時は、かなしかったし、さびしかった」

ありす「でもね……ここにくる途中で、あたしはあたしに出会ったの」

ありす「あたしはあたしのただひとりのお友達。やっとできたあたしの、あたしだけのお友達」

ありす「だからお兄ちゃんのことはもういいの。あたしさえいれば、あたしはまんぞくだから」

ありす「でも、次の遊び相手なんだよね……しょうがないから、遊んであげる」

ありす「おねがいだから、すぐにきえないでね。あたしはかなしいし、あたしはつまんないから」

そう言って、少女はゆっくりと去っていった。 彼女が次の相手……こんな幼い人形のような少女が。


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